資金と収支・設備投資と採算性 【後編】

● 帳簿と資金繰り
通常、接骨院の売上は70%が保険請求で賄われ、残りの30%が一部負担金などの窓口収入となります。

ここで、仮に毎月の請求額が約150万円、窓口収入として50万円、月間総売上高が200万円の手堅い運営を行っているA接骨院を例に話を進めてみましょう。

このA接骨院の月間の経費が120万円であったとすると年間で経費は1440万円となります。
A接骨院では年間2400万円の売上があり、その年間経費が1440万円ですので、960万円の利益が出ています。
しかし、この「利益」である960万円はあくまで、経理上の計算によって算出された数字であって「儲け」(現金)では無いことを認識しなければなりません。

この「儲け」を見るためには入金と経費の関係を知る必要があります。
接骨院では施術(売上発生)→レセプト作成→請求→入金という一連のサイクルがありますが、この施術から入金までの期間が経営において大きな影響を与えることになります。
A接骨院の月間保険請求額が150万円で窓口収入が50万円、請求から入金までに要する期間が6ケ月であったとすると年間の入金は年間合計で900万円となります。

保険請求額以外に毎月の窓口収入として50万円ありますから、年間で600万円。年間総入金額は1500万円となります。
そして、A接骨院の経費の年間総額は1440万円ですから年間の現金の残高は60万円と言う事になります。

これで、ご理解いただけたと思いますが、「利益」とというものは経理上の計算で出された値です。
従って、経理上は960万円もありながら、消費することはできません。
つまり、「利益」と言うものは会計(税務)制度により算出された数値であり、現実の「儲け」とはまったく別のものであるとの認識を持つべきです。

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