資金と収支・設備投資と採算性 【前編】

● 「儲けの出る仕組み」を
この業界では「商売」と言う言葉を使うと過剰に反応する方々がいらっしゃいますが、福沢諭吉は、「天下国家の為に事業を起こそうとする人間はいない。儲かると思うから事業を起こすのだ。人一倍儲けたいという私利私欲が集まって皆が潤い、結果として公益に変わる。
つまり、一銭でも余計に儲ける為に日夜汗と知恵を絞る事業家の貪欲なパワーこそ、社会を活性化し更に発展させる原動力である」と説きました。
商売は経済活動であり、経済活動の本来の意味は「経世済民」つまり、「国を治めて民を救う」事であります。

商売である以上、「儲け」を出さなければなりません。
「儲けを出せない商売は犯罪に等しい」と世界的企業となった松下電器の創設者である故松下幸之助翁は喝破しています。
それでは、「どうしたら儲けを出せる商売が出来るか?」ということになりますが、その答えは「儲けが出る仕組み」にする以外に方法はないと思います。

接骨院業界は以前、確かに「利益の出る仕組み」になっていました。しかし、時代が変わり、接骨院を取り巻く種々の環境も変わりました。この経営環境においては、「儲けの出る仕組み」を新たに創造しそれを詳細に検証し、実施する必要があります。

一般に商売は「人・-金・もの (コト)」が必要といわれます。
この場合の「人」とは院長自身も含めた人材のことです。そして、「金」とは開業のための投下資本のことであり、経営を継続する為に必要な毎月の経費を賄なえるだけの売上に対する入金のことです。そして、「モノ」 とは接骨院に於ける商品となるもの、つまり、治療・施術技術そして、その他の商品のことです。

この3者のバランスが取れた状態での開業、さらに継続的な運営へと移行して行かないと、途中で挫折する事になりかねません。

◇   ◇   ◇

「開業」から「経営」へ移行してゆくのに際して、開業時と運営時の試算と予算を作成し計画的に経営する事が必要です。「そんな事、当たり前だヨ」と言われそうですが、一般的に開業資金は細かいところまでシミュレート(試算)しますが、実際の日常業務である運営シミュレーションとなると、「やれば、何とかなる!!」という気合で乗り越えようとする勇気(蛮勇)をもった方が多い事に驚かされます。
開業時は、支出のみに大きな資金が動きますので、自然と細心の注意をはらうものです。

半面、開業時程大きな金額が動かない日常業務の積み重ねである日々の運営と言う事になると細かい金銭処理と事務処理がメインとなりますので「慣れ」と「散漫」が支配する事になり易いものです。

「商売は桶、お金は水である」と思って下さい。桶のそこに穴が開いたら、びっくりして穴を塞ぎ、水が大量に流失するのを防ぐ事ができます。したがって、あまり怖いものではありません。
しかし、桶の底の小さな穴からジワジワとしみ出て来る様な水の場合、なかなか気がつかないだけに怖いものです。
日常業務に長期間に渡ってシミ出くるような穴の無い経営が求められます。

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