柔整師と医師の大論争 「亜急性」について考える

厚生労働省は2016(平成28)年7月7日に開いた社会保障審議会医療保険部会「柔道整復療養費検討専門委員会」で、柔道整復療養費の支給基準で定めている「亜急性」という表現を見直すことを提案した。柔道整復師にとってこの用語は教科書にも載っているあたりまえに使われる用語だ。それを厚労省は医師と施術者間で論争の種になっているので見直したいという。医師からみた「亜急性」とは、柔整師にとっての「亜急性」とは、それぞれの定義の違いや現状を検証する。

亜急性についての見解

厚生労働省は平成25年4月発出の「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について」で「亜急性の外傷」は支給対象としている。
これに対して7日の検討専門委員会では、愛媛県医師会理事である有識者委員が、「亜急性の外傷」の定義に関しての外科系学会の見解を紹介した。〝外傷とは、「何らかの物理的外力が作用して生じた生体の損傷」と定義され、…(編集部略)…「亜急性」は、医学的には傷病の時間的経過を指しており、受傷時から順に急性、亜急性、慢性として使われ、「亜急性」は、急性と慢性の間の時期、つまり「亜急性期」と表記されるのが一般的と考えられます。「亜急性の外傷」という表現は、医学的に用いられることはありません。なぜなら外傷はすべて急性だからです〟としている。この委員は、「いつどこでどうして怪我をしたか判然としないものは外傷ではなく、支給対象には当たりません」と強調。

3 外科学会の見解

「亜急性外傷」を柔道整復師側はどのようにとらえているだろうか。栃木県柔道整復師会のホームページによると「亜急性外傷とは、亜急性期(急性期、亜急性期、慢性期というふうに受傷からの期間によって分類している)の外傷という意味ではなく、外傷を起こす原因として急激な外力より起こる急性外傷に準ずるもので、軽度な外力でも反復や持続した外力により、急性外傷と同様に軟部組織などの損傷が見られる外傷を指すものです」となっている。
医師側は「亜急性」は〝急性と慢性の間にある傷病の時間経過〟を言い、柔道整復師は〝反復や持続した外力による急性外傷と同様な外傷〟と定義している。

柔道整復師を養成する専門学校、大学の教科書に載っているという亜急性。教科書の記述はどういうものだろうか。
教科書、『柔道整復学・理論編』(南江堂、2009年)では次のように記述されている。「損傷時の力は急性と亜急性に分類できる」「急性とは原因と結果の間にはっきりとした直接的関係が存在するもので、落下、直接の打撃、骨・関節・軟部組織に加えられた瞬発的な力によって発生する」「亜急性は反復あるいは持続される力によって、はっきりとした原因が自覚できないにも関わらず損傷が発生する。このなかには、臨床症状が突然発生するものと、徐々に出現してくるものがある。…(編集部略)…亜急性損傷は、以下に示すような分類がなされる。(1)使いすぎ (2)使い方の間違い (3)不使用後の急な負荷」。

柔道整復学の講師に話を聞いた。
「私たちの考える亜急性とは、医師の言う時間軸での考え方ではありません。教科書に記載されている通り、蓄積性あるいは反復性によって損傷が発生することを亜急性外傷と呼んでいます。私たちはそう教わってきましたし、学生にも教科書通りに教えています。亜急性の外傷とはたとえば、木の板の橋があったとします。その上を何人もの人が渡ることで徐々に木が疲労して〝ひび〟が入り、しまいに折れたとします。木がもし骨だとすると〝ひび〟が入る状態を不全骨折や亀裂骨折と言います。折れたら骨折です。これは反復性で亜急性です。瞬発的な力によって発生する骨折ではありません…」。

※記事の詳細は、ひーりんぐマガジン53号(秋号)をご覧ください。

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