特集 2023年はどんな年?

 一昨年、2021(令和3)年の1月は年明け早々、新型コロナウイルス感染者が一気に増え、1月8日に第3波のピーク(7955人、全国)を迎えた。昨年も年明け早々、それまでにないレベルで感染拡大が始まった。今年の1月は昨年10月後半から「第8波」が始まり感染者の増加が予想されている。1月に感染者数が急増するのは年末年始の恒例行事や帰省が感染の拡大につながるためと専門家は指摘している。
 コロナ禍の過去3年は行動制限などもありインフルエンザは流行しなかった。そのため免疫を持つ人が少なく今冬はコロナとの同時流行が懸念されている。政府の推計はピーク時の1日当たりの全国感染者数は新型コロナ45万人、インフルエンザ30万人の計75万人に上る。そんな予想がある中で外国人入国者に対する水際対策を大幅に緩和し、さらに全国旅行支援も開始され、「ウィズコロナ」が始まった。経済対策と新型コロナ対策が共存する新年、2023(令和5)年はどんな年になるのだろうか。

十干十二支でみる2023年

 今年の干支(えと)は4番目の「卯」で、「十干十二支」でいうと「癸卯(みずのと・う)」。干支は60年周期で循環する暦でそれぞれに意味を持っている。それによると「癸卯」は、「寒気が緩み、萌芽を促す年」で、「コロナ禍以降停滞し続けていた世の中に、希望が芽吹く春がやってきそう」といわれている。ただ、今まで培ってきた自身の力が試される年であることも示唆しているため、最後まで諦めずに希望を持ち続けながらも無理をしすぎないことが道を拓く鍵になりそうな年だという。
 同じ「癸卯」だった1963(昭和38)年はどんな年だったか出来事を挙げてみる。

1月1日 初の国産長編テレビアニメ『鉄腕アトム』放映開始。
2月10日 小倉・門司・戸畑・若松・八幡の5市が合併して北九州市が誕生。
3月   寿屋がサントリーに社名変更。
4月25日 大阪駅前に日本初の横断歩道橋設置。
7月2日 日清食品が「日清焼そば」を発売。
11月1日 新千円札(伊藤博文の肖像)発行。
11月22日 アメリカのケネディ大統領がダラスで暗殺。

 この年に20万円を切る16型カラーテレビが発売された。このときのテレビの普及台数は白黒1600万台、カラーはわずか5万台ほどだった。

イベントでみる2023年

表1 2023年の主なイベント予定

日曜・祝日でみる2023年
 2023年の3日以上の連休は合計8回で、昨年と比べると1回少ない。しかし、9月から11月については各月に3連休がある。さらに祝日が火曜や木曜など週末と隣接していない場合、前後の平日に休みを取れば4連休を3回取ることも可能だ。土曜日が休暇との前提だが、2月24日(金)の平日に休暇を取れば2月23日(木)〜2月26日(日)の4連休。3月20日(月)に休暇を取れば3月18日(土)〜3月21日(火)、11月24日(金)に休暇を取れば11月23日(木)〜11月26日(日)も4連休となる。ゴールデンウイークは5月1日(月)と5月2日(火)に休暇を取れば4月29日(土)から5月7日(日)までの最大9連休が可能だ。

経済からみる2023年
 総合情報サービス企業の株式会社日本総合研究所によると「わが国経済は内需主導で回復が続く見通し。個人消費はこれまでコロナ禍で消費を大幅に抑制、先送りしてきたが、サービス関連の需要を中心に消費活動の回復が本格化。物価上昇が家計の購買力を下押しするものの、低所得者世帯を対象とする現金給付や全世帯を対象とした光熱費の負担軽減などの政府の物価高対策が悪影響を緩和する。設備投資は大企業を中心に高水準の企業収益が続いていることに加え、デジタル化関連や環境関連などへの投資意欲が強く増加基調が続く見通し。入国者数上限の撤廃や個人旅行の解禁といった水際対策の緩和がインバウンド需要の回復を後押しする」と予測。
 株価についてフェアトレード株式会社は、「今年は『世界的なインフレや金利高にもかかわらず株式だけが先行して上昇する相場』になる可能性が高い。コロナ禍やインフレ、円安などで実体経済が厳しい環境下でも好業績を続けている企業は数多くある」。

医療・健康からみる2023年
 日経BPによると今年の医療・健康産業全体の世界市場規模は、2600兆~2800兆円に達すると予測されている。これは現在の自動車産業に比べると7倍近くの市場規模に相当するという。また、『日経トレンディ2022年12月号』には「2023年ヒット予測ランキング」が載っている。1位は「コンビニジム」、コンビニ感覚でふらっと立ち寄れる初心者向けのジム「chocoZAP(ちょこざっぷ)」が、隙間時間に「5分の筋トレ」という新しい選択肢を生むきっかけとなっており、格安ジムの拡大を図る他チェーンも見られている。
 また、アマゾン・ドット・コムは昨年、日本で処方薬のネット販売を検討していると報じられてた。今年1月から医療機関に本格導入された「電子処方箋」がその理由で、定期的な薬を服用している人、薬局に行く時間がない人々は「アマゾン薬局」を利用する。一方、対面で確認をしながら薬の説明を受けて安心感を得たいという人は街の薬局を利用する。利用客は二分化されると予想されている。

表2 2023年ヒット予測ランキング

施術家の2023年

柔道整復師
 2012(平成24)年10月に始まった柔道整復師療養費検討委員会は昨年7月で第23回を数えている。第15回の時点で整理された項目は18項目あった。そのうち「同一建物の複数患者への往療の見直し」「支給申請書の統一」「施術管理者の研修受講や実務経験を要件とする仕組みの導入」「償還払いに戻す仕組み」など、ほとんどの項目は実施に移された。今年まで残っている主なものは、「オンライン請求」と「負傷原因の1部位目からの記載」だ。オンライン請求については今年7月~9月にワーキンググループが立ち上げられる。今年は「オンライン請求」の詰めの論議や「負傷原因の1部位目からの記載」の論議がメインとなりそうだ。

あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう師(あはき師)
 あはき療養費検討委員会も柔整と同じ2012年10月に始まり、昨年5月で第25回を迎えた。その間「施術の長期・頻回の見直し」「往療料の距離加算の廃止」「施術管理者の研修受講や実務経験を要件とする仕組みの導入」「医師の同意書の見直し」「施術報告書の作成」など論点の数多くが実行に移された。残された論議で目につくのは「料金の包括化(いわゆる丸め)」だ。これは施術部位数に応じた支払いから1回の施術における支払いに変更するものだ。厚労省は包括化に進みたいと考えている。今年本格的な論議が行われる可能性が高い。

施術家全般
 「あはき師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」は2019(令和元)年11月以来約3年間行われていない。これまでの議論は国家資格者の施術所の名称の見直し(整骨院を使用禁止とし接骨院に統一)などから、「治療」という言葉の使用の可否。論点にはいわゆる無資格者の施術所の広告の見直しもあり、結果次第では影響が業界全体に及ぶ。今年、検討会の再開が報じられたときには注意深くその内容を把握してほしい。それは施術所の経営方法を大きく変化させることを意味するから。

◇◇◇

 今年は新型コロナ感染症がなくならず(ウィズコロナ)、ロシアのウクライナ侵攻が続き、世界の物価上昇も続く混沌とした1年が予想される。日本の経済活動はある程度活発になるだろうが今年中に以前のレベルには戻らないだろう。コロナ禍以来、日本人は対外的な行動を避けるような行動を指向する「内向き」は続く。人の内向きは自身の健康にも向いている。これは健康産業にとってビッグチャンスでもあると捉えよう。今年は単なる治療だけではなく健康を維持・増進する予防治療がヒットする予測がある。柔軟な発想を持って「新しい成長」を築く2023年としたいものだ。

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