その道のプロに聞く 身につく治療技術習得法と臨床での注意点

水谷 哲也 先生
荻窪腰痛リハビリスタジオ院長・日本臨床徒手医学協会理事・日本ドイツ徒手医学会認定マニュアルセラピスト
業界は同業他社間の顧客の奪い合いが激化し、そのうえに保険者による締め付けが厳しくなったことで、接骨院経営は非常に難しい時代へと突入した。  活路を見出そうと集客マーケティングの実施や新たな手技を模索する院も多いなかで、肝心の治療家としての本分を見失ってしまうケースも多いと聞く。  本誌でもおなじみの水谷哲也先生に、治療家として忘れてはならない姿勢、そして考え方など基本的な在り方について、忌憚なく話をしていただいた。

◆ 技術の習得にセミナーは有効?
水谷 「しっかりした治療理論を確立するためには、セミナーを数多く受けることも有効です。これは私のスタッフにも推奨していることです。若いスタッフにはよく”オタクになれ!”といっています。自分が好きだと思うセミナーにとにかく参加すること。考える前にまず受けてみればいいんです。受けてみてから判断すればいい」

Q 「参加したセミナーが正しかったかどうか、見極める方法はあるのですか?」
水谷 「治療効果に関しては、たとえば三回治療して効果がなければどこか(検査または治療方法)が間違っていると考えていい。患者さんが自宅へ帰ってから効果が切れた場合など、なぜ効果が切れた(出ない)のか? その人の日常生活を含めて、その理由を本来きちんと相手に説明できるようにしておかなければならないわけです」

◆ 柔整師はこの共通言語を自ら放棄している
水谷 「検査や治療の方法自体は年々新しい手法や技術が開発されています。それに対して解剖学、生理学、運動学というものは、永遠に不変のものです。これらは、いわば治療家にとっての共通言語。私はよく言うのですが柔整師はこの共通言語を自ら放棄しているんですよ」

Q 「それは具体的にいうとどんなケースですか?」
A  「たとえば腰痛の患者さん。屈むと痛いのか? 反ると痛いのか? それによって発生起点はもちろん、エクササイズも全く逆になる。マッケンジー療法という身体を反らす治療法がありますが、これを患者さんの根本的な病態を把握せずに間違って施術すると最悪、脊柱管狭窄症になります。本来は『病態=治療』であるべきで『症状=治療』ではない。腰痛というのはさまざまな病態から起こるひとつの結果であって、『腰痛だからこの治療をしましょう』という判断はおかしいわけです」

◆ 初心忘るべからず
水谷 「腰痛は特に奥深いです。たとえば高齢者、特に女性の腰痛の遠因には筋力の低下、また骨密度の低下、あるいは圧迫骨折などがあります。それをマッサージで治療しようとしても無理がある。トレーニングが必須ですよね。きちんと患者さんにわかりやすく説明してトレーニングをさせないといけない。だから体系だった知識が必要になる」

Q 「体系だった知識が、ぶれない姿勢を生むのですね?」
水谷 「検査して治療する、という筋道を守るべきです。あと、専門学校入学時は誰しも、患者さんを治してあげたい、という純粋な想いがあったはず。でも現状は、国家資格を取ったらおしまい、という人が多い。初心忘るべからずですね。見習うべきは、板前さんや、美容師さんの夜間トレーニング。勤務時間後に居残って皆さんひとり黙々と自分のスキルを磨いています。いっぽう治療院はどうか? 患者さん相手に(治療の)トレーニングしている人がいます。これは絶対に駄目! やめた方がいいですね」

※記事の詳細は、ひーりんぐマガジン53号(秋号)をご覧ください。

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