――高橋さんが、販促力や集客力を向上させるためのツールとして、アナログ的な「看板」「POP」に着目されたきっかけは何ですか?
高橋 10数年前、勤務する会社が某飲食店FCに加盟して、店舗の管理、運営を任されていました。そこである日、売上が日商ベースで2万円も下落するという事が起こったのです。「一体何が原因なのだろう?」と、原因を探しまわりました。
すると、あるスタッフが「今日、警察官に注意されたので、駐車場への誘導看板を奥へ引っ込めました」というのです。現場へ行くとなるほど、矢印入りの「P」マーク看板の置き位置がいつもと変わっている。普段は深く考えずにただ、漫然と置いていた一枚の看板。警官に指摘されて位置を少し変えただけで売上がガタっと落ちたのです。
翌日、まさかと思いコッソリ元の位置に看板を戻してみました。すると、見事に売上は回復。さらに後日試しに、何度か看板を出したり引っ込めたりしてみたところ、店の日商とこの看板とのあいだに明確な相関関係が存在することがわかったのです。
――「30メートル集客」の考え方と、主たるメソッドなどについて教えてください。
高橋 新規のお客さんがお店に入るにあたって「知りたいと思う情報」は大きく4つ(価格、商品、場所、情報バリュー)あります。その4つの情報を、店舗の30メートル手前から順に知らせてあげることです。
30メートルといってもあくまで目安。状況によってはもっと手前からでもOK。とにかく情報を「的確に」「順序よく」伝えてあげることが大切。
お店を経営する側が陥りやすい間違いに、お店が「知らせたい情報」とお客さんが「知りたいと思う情報」とを取り違える、ということがしばしば起こります。
たとえば「高橋屋」という店名ロゴをデカデカと看板に描いて掲げるとします。ところが、「高橋屋」を知らない新規のお客さんはここが「何屋さん」であるかがさっぱりわからない。これが情報のミスマッチです。
高橋 失敗例として多いのは情報量の「過多」と情報の「整理不足」。それから看板設置の際の「向き(置き位置)の間違い」です。
施術メニューやPOS(売りとなるサービスや技術など)を、看板上にカラフルな色遣いで満載にしている院があります。これもやりすぎると、通行人の思考にただ判断不可能な状態を招くだけで、顧客獲得の機会をかえって失う。情報の量と内容の整理をもっとしたほうがよい、と感じるケースは少なくありませんね。
それから看板の「置き方」のポイントは「向き」。要は「歩いている人からどう見えるか?」。「樹に隠れて見えない」のでは意味が無い。
PCの画面上で見て「カッコいいか?」どうかでなく、大切なのは現地の環境で通行人に伝わるか、それだけです。
※記事の詳細は、ひーりんぐマガジン48号(夏号)をご覧ください。