新春特集 「2022年」を読む

昨年の1月は新型コロナウイルス感染者数が全国で日ごとに約3千人増加し、いわゆる第3波のピークを迎えていた。それから一年、今年のお正月は昨年暮れから行動規制が解かれ人流が急増している状態で、新型コロナウイルス感染者数は減少状態が続いていた。しかし、1月なかばからまた急増し各地で過去最大の感染者数を記録している。
これは南アフリカで昨年11月に確認された変異株「オミクロン株」の影響で、世界で急拡大しつつある。昨年暮れの毎日新聞の世論調査では「オミクロン株の感染拡大の不安を感じるか」との問に73%の人が「不安を感じている」と回答。安心で安全な年になるかどうか、先行きがハッキリ見えないまま2022年が始まった。2022年がどんな年になるのかさまざまな面から読み解いてみよう。

十干十二支から見る2022年

今年の干支(えと)は3番目の「寅」で、「十干十二支」でいうと「壬寅(みずのえとら)」。壬寅の「壬」は「妊に通じ、陽気を下に姙(はら)む」、「寅」は「螾(ミミズ)に通じ、春の草木が生ずる」という意味がある。そのため「壬寅」は厳しい冬を越え芽吹きはじめ、新しい成長の礎となるイメージだという。
「壬寅」は60年に一度訪れる。前回の壬寅は1962(昭和37)年だ。日本の1962(昭和37)年11月から1964(昭和39)年10月にかけてはオリンピック景気と呼ばれる高度経済成長時代だった。2年後の10月に東京オリンピックが初開催。それに伴って交通網の整備や競技施設が必要となり、東海道新幹線や首都高速道路などのインフラや国立競技場、日本武道館などの競技施設が整備され建設需要が高まった。またオリンピックのためにテレビを買うなど一般市民にも好景気のムードが漂った年だ。

2022年2つの問題点

2022年から起き始める問題点として2つの事例が示されている。
「生産緑地問題」と「少子超高齢化」である。
「生産緑地問題」は現在「生産緑地」に指定されている土地の80%が、2022年に指定解除となることだ。生産緑地法が初めて制定された頃は人口の増加により一部の地域の都市化が急速に進み、農地や緑地が宅地へと転用された。急速に市街地の緑地が減少した結果、住環境の悪化、土地が地盤保持・保水機能を失ったことによる災害などが多発し社会問題となった。この問題のために制定されたのが生産緑地法で、最低30年間は農地・緑地として土地を維持する代わりに、税制面で大幅な優遇を受けることができるというもの。それから30年が経過し、後継者のいない都市部の農家から約10923ヘクタール(東京ドーム2336個分)という大量の宅地の放出が見込まれている。これらの土地が大量に不動産市場に流れ込むことで土地の価格が大幅下落することが懸念されている。これが「生産緑地2022年問題」だ。

「少子超高齢化」は健康保険組合連合会がまとめた「2022年危機」と題したレポートをマスコミが数多く取り上げたことに起因する。その内容は「急激な高齢化と現役世代人口の減少で現役世代の負担は増大、医療・介護・年金を合わせた社会保険料率が間もなく30%を超える。これを避けるためには、後期高齢者の医療費負担を原則2割とするなど、世代間の負担のアンバランスを是正する改革を進めるべきだ」というもの。
このレポートが注目されたのは、今年から推定800万人といわれる団塊の世代が75歳になり、総人口に対する75歳以上の人口が約1900万人と2割近くに迫ること。
法政大学経済学部の小黒一正教授は「2018年度の社会保障給付費の総額は、年金が約57兆円、医療費が約39兆円、介護費が約11兆円で、そのほか諸々を含めて約121兆円。これが2025年度には社会保障費は約140兆円にまで膨らみ、さらに2040年度には190兆円を超えると試算されています。これに対しては年金支給額を抑制する、医療費負担を上げる、働く世代から税金などをより多く徴収する、消費税をさらに上げる、といった選択をせざるを得なくなります」という。

さらに、1964(昭和39)年の東京オリンピックによって一気にインフラが建設、整備されてから60年。既存のインフラの老朽化が集中し、その整備に膨大な金額がかかるとの試算もある。

※詳しくはひーりんぐマガジン74号新春特集1をご覧ください。

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