治療家が万一のリスクに備えて加入する賠償責任保険。ちなみに全国柔道整復学校協会のアンケートによると、柔道整復師の賠償責任保険への加入率は約8割(83・2%)と、数字上では決して悪くないといえるでしょう。ここに大きな落とし穴があるのです。
通常(保険を取り扱う施術を行う)治療家が院を開業するとき、通常はどこかの請求団体に加入します。この時、加入した先の請求団体が、治療家に対して提携先の賠償責任保険会社を紹介。開業前に自分自身で保険会社と必ず契約を結んでおくよう指導されるケースがほとんどです(図1)。
通常(保険を取り扱う施術を行う)治療家が院を開業するとき、通常はどこかの請求団体に加入します。この時、加入した先の請求団体が、治療家に対して提携先の賠償責任保険会社を紹介。開業前に自分自身で保険会社と必ず契約を結んでおくよう指導されるケースがほとんどです(図1)。
しかし、施術保険の契約メカニズムが少々わかりにくくなっています。
もし、加入する保険について吟味することなく契約し、単に「入っているから大丈夫!」とタカをくくっていると、いざ事故が起きたときは後の祭りになります。慌てても手遅れ、という事態に遭遇しかねません。
もし、加入する保険について吟味することなく契約し、単に「入っているから大丈夫!」とタカをくくっていると、いざ事故が起きたときは後の祭りになります。慌てても手遅れ、という事態に遭遇しかねません。
ここで事例をもとに、よく起こりがちなケースについてお話しましょう。
ある患者さんは、頸椎および腰椎に脊柱管狭窄症の持病を抱えており、手術歴もありました。ある日、ひどい痛みを緩和するため、自己判断で接骨院へ来院。当時、院長が多忙で手が回らず、従業員スタッフが手技を施したところ傷みが軽快。
ところが後日3回目の施術の後、その患者さんは突然激しい痛みに襲われ、ベッドから起き上がれなくなってしまった。直ちに救急車を手配。結局、その患者さんは腰の骨の一部を骨折していることが判明。その後、治療院に対して賠償責任請求の連絡が来てしまいました。
開業時に契約を結んだ保険会社の担当者に問い合わせてみると「契約は院長先生のみ。ほかのスタッフが行った治療による過失は100%免責となっています」との答えで、対応についてアドバイスは一切受けられなかった。途方に暮れた院長のもとに、業を煮やした患者さんが弁護士連れで訪れ、一大事になってしまった、といいます。
ここでは、二つの想定外の事象が同時に起きていることがわかります。
※記事の詳細は、ひーりんぐマガジン56号(夏号)をご覧ください。