PCC主宰 花谷博幸氏に聞く
「とにかく患者さん視点がない」治療院が多いことに驚かされるという。「治療院という体裁は取り繕っていても患者さん視点がない。清潔で落ち着いた空間は必要だが、それだけでどうにかなると思っている人も多いんです。先日伺った治療院では玄関に入ってすぐにダメ出しをしてしまいました」(笑)。
そこは、店の玄関で靴を脱ぎ、そのままスリッパに履き替えるという、ごく普通の整体院だった。玄関には腰掛ける椅子もなく、立ったまま靴を履き替えさせていた。聞けばその整体院は、腰や膝の痛みをとることを得意とする整体院で、しかも患者さんは中・高年齢の人が多くいたのに「しっかりした椅子が一つ玄関にあれば、そこに腰を掛けて無理なく靴を履いたり脱いだりできるわけです」と花谷氏は言う。
治療院は、患者さんが入ってきてから出ていくまでは、常にノンストレスの状態でなければならない。もう一つの盲点は、院側の人の常識である。
院側の人間は、もちろん院内の間取りも使い方も知っているのは当然だ。実はここが盲点なのだ。
初診の患者さんというのは、院内の間取りも何も知らないので、どこで靴を脱ぐのかさえも尋ねる人もいる。そういった無意識レベルでのストレスをノンストレスにしておく配慮が治療効果のためにも必要なのだそうだ。
「入口から出口まで誘導してあげるだけでぜんぜん違うのです。怖いのは、そこに無意識レベルでのストレスがあると何かの拍子で院への不満に転化するのです。“お客”というのは常に自分では悪くないと思う人たちなんです。潜在レベルでお店のことを評価するものだと思っていた方がよいのです。ストレスがたまってきた上に先生の治療に満足がいかないとリピートはありません」。
※記事の詳細は、ひーりんぐマガジン32号(夏号)をご覧下さい。