宣伝広告の媒体 ~口コミからチラシまで 【後編】

● 院内チラシ
開業時には新聞折込チラシや口コミの喚起などに熱心な院長でもスムーズに開業し、新患数もそこそことなった場合、治療業務に専念するあまり、継続しての広告・告知業務を忘れがちです。開業前や直後の様に大々的に実施する必要はありませんが、継続して宣伝広告する必要があります。

簡単にできるものに院内チラシがあります。院内チラシは来院された患者に持ち帰ってもらいます。これは患者の友人や知人に自院を話題にしてもらう道具であり、院内チラシをもらった人を自院へ誘導するためのツールでもあります。
治療メニュー、治療時間と休日、院長やスタッフの写真等の他に近隣の駅等からの簡単な地図等も記載し、口コミの補助媒体として考慮して作成する必要があります。

● チラシの傾向
今までの開業チラシは何日にどこで治療院がオープンといった必要最小限の構成が多い傾向でした。
しかし最近の傾向としては院長・治療院スタッフの顔写真、プロフィール、メッセージなどを記載しているものが増えています。生まれて初めて治療院に行く必要に迫られた時、人ははじめてのことに多少なりとも緊張感・不安感があるものです。そんな時に何日にどこでオープンというだけのチラシでは、その治療院には行きにくいものです。

どんな先生だろう、どんな施術をするのだろうと不安になります。先生の立場からすれば「ドアを開けたとたん不安感が消えるように院内を工夫している」とおっしゃるでしょうが、そのドアを開けるまでが患者にとって不安なのです。

そのためにも院長・治療院スタッフの顔写真をチラシに入れ「こんなにやさしい顔をしています」メッセージを入れ、「それぞれの症状にあわせて丁寧に施術しますよ、怖くない施術をしますよ」と訴えることが必要です。

以前の様に「今度、近所で開業して患者を診てやる」という居丈高な態度から今はソフト路線に変わってきています。もし、あなたがこの様な二つのチラシを見て行こうと思うのはどちらの院ですか。このことは決して患者に迎合することではありません。治療院間の過当競争の中で一人でも多くの患者を獲得しようと経営を考えた戦略のひとつなのです。

大型スーパーの野菜売り場に行ってみると、「真剣に消費者のためを考えて無農薬で作った大根です」のメッセージと生産者の顔写真が表示されていることがあります。主婦は少々高めでもメッセージと生産者の顔写真がある大根と今までのように単に山積みになっている安い大根とどちらを選ぶでしょうか。

当然、前者の大根がよく売れます。無農薬は身体に良いと思われている上に、顔が見えるということで安心感も増大してるからです。

メッセージと生産者の顔写真があるのは生ものに限られています。治療院の先生たちは生の身体を扱います。大根と人間の身体を直接比較できませんが、患者が身体を触らせることに抵抗感を感じさせないためには、患者にとって「真剣に自分の身体のことを考えてくれる先生」が望まれています。

チラシに関しても旧態依然とした今までが良いのか、新たな手法が良いか、よくお考え下さい。
どちらを選択するのも先生の自由です。

◇   ◇   ◇

吉村 龍夫 氏
[ひーりんぐマガジン 3号より]

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