こんな治療家には融資したくない!

その④ 自己資金を出し渋る

私の知る例で、融資相談に行ったときに「あなたのしている、その高そうな腕時計を売ったお金を自己資金に組み入れて、事業計画を立て直してから来てください」と言われたケースがありました。

お金が足りないから貸してくれ、というのに、その張本人がお金の匂いを漂わせていては、金融機関はいい顔をしません。

「会社と個人は別だろう」という気持ちももっともですが、金融機関が嫌う事に「融資した金を溶かされること」があります。つまりは融資目的と違う事に資金が使われたり、最悪は会社から個人へ流されるような使い方をされる事です。そう思わせないためのアピールが必要だということですね。

「資金を入れて経営力を高めたい」などと資料に書かれていても、「ならまずは自己資金を目一杯使ってみたらどうでしょう?」というように思われてしまって良いことなんてありませんから。

その⑤ リスクシナリオを想定していない

売上予測もリスクシナリオがあった方が良い

これは重要な項目です。事業計画書の中に「リスクシナリオ」が書かれていないのは、直接的なマイナス評価に繋がります。

リスクシナリオがどういったものかといえば、事業計画が思うとおりに進まないパターンのことです。患者増数や売上額増加数に影響が出ると想定できる、悪いパターンも併記しておくのが良いのです。

例えば「2年目に近隣に競合店ができた場合」などや「人員不足で成長率が保てなくなる場合」などです。
リスクシナリオを持てるということは、この業界独特の「こういうパターンは売上が落ちやすい」という事を把握しているから大丈夫(回避できます)ですよ、というアピールにもなるのです。
商売をする以上、思い通りにいく事ばかりではない、という現実をしっかり認識している事は、お金を貸す側からすれば頼もしく思えます。

もちろんリスクシナリオには、「それをどうやって克服するか?」という事が書かれていなければならないことは言うまでもありませんね。

その⑥ 熱を感じられない

リスクシナリオとは逆のように思えますが、その本人から熱が感じられないのも、金融機関からすると、魅力的な人物に思われません。

「私はこれをしたいんです!そのためだったらなんだって努力する覚悟なんです」という、夢を語るような熱を感じたいのです。「やっぱり飽きちゃったから、商売やーめた」なんて思うような人にはお金を貸せませんからね。

小手先のテクニックのようですが、熱を感じさせるためにも、「相手の目を見て」、「自信を持って」、「現実的かつ熱意のある夢を語る」くらいの事を心がけるべきです。

その⑦ 意見が一貫していない

金融機関の担当者がよく使う「チェック法」として、同じ話題を何度か振ってみる、ということがあります。答えが微妙に異なると、これはウソなのではないか?と判断するわけですね。

例えば「夏の売上が良い、という予測はどうして算出したのですか?」という質問を3回されたとして、
1→「以前勤めていたところでは毎年そうでした」
2→「前に勤めていたところの実績から判断しました」
3→「調べてみると業界全体そういう特性があるからです」
と、答えが変わってしまうと、「ひょっとして思いつきで出した数字なのだろう」と判断されてしまうのです。

変化を嫌う金融機関は、態度や言動を変えられるのをとても嫌がります。一貫した意見を持てるように準備することが必要です。

その⑧ 横の繋がりが見えない

金融機関は臆病な程に慎重な考え方をします。融資を希望してきた人物について、横にどういった繋がりが見えるかを気にするのです。例えば、お金も持っていて、金融機関との繋がりも深い人物からの紹介ならば、その人物もまた信用できるだろうと判断するケースや、逆に悪い人物と付き合っていそうなら、最悪のケースも想定して、融資を取りやめる事も当然あるわけです。

地域との繋がりも重要視される部分ですね。地域に根ざした金融機関では、地元商工会からの推薦状があるだけで、審査が非常に緩くなる事もあります。その目的がきっかけで商工会に加入される方も多いですよ。地元有力者からの紹介の場合、金利を優遇される事だってありますから。

とにかく金融機関の考えからすれば、
「この人からの紹介なら、顔を潰さないためにちゃんと返済するだろう」
「悪い噂のあるあの会社の知り合いって事は、一緒に悪い事をしているのではないか?」
「これだけ有力者の知り合いが多ければ、返済に困ったらどうにかお金を集めてこれるだろう」
と、横の繋がりを気にするのが当然なのです。

そういう意味で、横の繋がりが全く見えない人に対しては、慎重に対応せざるを得なくなるということなんですよ。

その⑨ あまりお金を借りたがっていない

こうして融資対策のお話をしていると忘れがちですが、金融機関はお金を借りて欲しいのです。一番嬉しいのは「沢山借りて、きっちり返して、さらに借りる」人です。

そう考えると、事業計画の中で「なるべく無借金経営で~」などと言われてしまえば、面白くありません。経営的にはそちらが正しいことは別として、です。そうであるなら、「ここでお金を借りて、院をでっかくして、もっと沢山借りてドンドン大きく成長していきますよ」という雰囲気を感じたいのでしょうね。難しい話ですが(笑)

余談ではありますが、消費者金融やヤミ金になると、また話は変わってきます。彼らは「ホントは無借金で暮らしたかった」という人物を好みます。何故なら借金に対して免疫が無い人に、あれやこれやと上手くコントロールして、借金漬けにするのが一番儲かる事を知っているからです。

無理をしない融資を受けましょう

最後にこうした話をするのもおかしいですが、金融機関が融資を渋っているということは、自分でも気づいていない何かしらの事情を感じているからでしょう。どうにか融資を引っ張り出す事に腐心するよりかは、金融機関がこぞって融資したくなるような経営を目指すのが一番でしょうね。

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