特集「柔整 卒業生進路状況アンケートにみる経営のポイント」

全国40の柔道整復師養成専門学校が参加する公益社団法人全国柔道整復学校協会は、非会員校を含む49校の卒業生の進路状況、業務活動実態などを2011(平成23)年度から15年度までの5年間にわたって調べた。その結果を「卒業生進路状況アンケート調査」として4月に公表した。この結果から治療院経営の方向性が見えてくる。
紹介するアンケート調査報告は、2007(平成19)年度から5年間にわたり行われた「卒業生進路状況アンケート調査」に続いて2回目となる。調査結果は卒業年月、性別、年齢はもちろん、関連業務への従事状況、開設所在地および勤務所在地と出身学校地域別との関係、開設施術所、勤務施術所の1日の平均患者数、社会保険の完備状況、現在の年収など多岐に及んでいる。出身学校地域別、開設地(勤務地)地域別の分析も満載だ。

1. 施術所開設者と勤務者の割合

全体としては、「開設している」が17・4%で「勤務している」が82・6%となっている。「開設している」の割合が高い地域は、近畿28・8%、中・四国25・5%、大阪24・7%などで、関西以西で「開設している」が多い。

2. 施術所開設者の開設経過年数

全体では、「1年未満」が34・3%と最も多く、「1年以上、2年未満」が26・6%、「2年以上、3年未満」が18・2%となっている。2年未満の比率が6割を超えている。開設地の地域別では、東京は他の地域より開設まで若干時間がかかる傾向がみられた。

3. 開設施術所の従業員数

全体では、従業員数0人が55・9%と半数以上を占めており、「1人」が20・3%、「2人」が11・9%となっている。地域別では、「0人」が5割を下回っているのは、「九州・沖縄」の37・1%だけだ。

4. 勤務者の社会保険の完備状況

勤務者の在籍する施術所では「完備している」が74・2%と7割を超えている。地域別では、近畿が59・5%で他地域に比べて低い。従業員を雇用するためには社会保険の完備が必須になりつつある。一方、開設施術所では「完備している」が40・6%で「完備していない」が59・4%と逆転する。「完備していない」が多い理由は、開設施術所には従業員が少ないのが要因だと考えられる。

5. 現在の年収

開設者、勤務者合算では、「250万円未満」が42・1%と最も多く、「250万円以上~350万円未満」が30・5%、350万円未満が7割を超えている。 地域別では、北海道・東北で「250万円未満」の比率が73・8%に及び、「250万円以上~350万円未満」の20・0%を加えると350万円未満が9割を超える。年収が高い傾向を示しているのは大都市部。  開設者、勤務者別の表によると開設者は年収が350万円未満の人は46・9%、350万円を超えている人が53・2%いる。一方、勤務者は年収が350万円未満の人は90・1%、350万円を超えている人が9・8%だった。さまざまなリスクを抱えている分、開設者は年収が多い。

※記事の詳細は、ひーりんぐマガジン56号(夏号)をご覧ください。

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