Aさんのケース
〝安物買いの銭失い〟を地で行く情報弱者。
「解約不可能なレセコンリース」「粗悪な支援体制」など、無責任サービスの嵐に泣く!
Aさんは大阪の柔整専門学校を卒業。関西大手のグループ院で5年間みっちり修行を重ねるうち、次第に独立への願望が高まっていったという。 昼間は柔整師として院に勤務するかたわら、意気軒昂として開業準備をスタートしたAさん。しかし、勤務するグループ院での日々の業務がとてつもなく忙しく、実際には開業準備の時間をとるどころではなかったという。
「本当に時間がありませんでしたね。やってみてわかったのは、開業準備ってこんなに大変なのか? ということ。さらに資金面の悩み。ある程度の額の借り入れはできたものの、運転資金のキャッシュが不足していた。そこで、ほかにもっと削れる部分はないか? と、請求団体は、広告上の掲載金額が一番安いところを選択。しかしこれが、間違いの始まりでした(笑)」。
Aさんが選んだ請求団体は「入会金と月会費が0円」「保険請求の代行手数料も格安」。確かに他社と比較しても破格の安さだ。広告に表記されていたこれらの価格に、Aさんはサービス内容をロクに吟味せず、契約書も熟読せずに、ほとんど即決状態で委託。しかし案の定、安いところには安いなりのさまざまな罠(トラップ)が存在していた。 「この会社にはレセコンのリース代として毎月1万5千円を支払うのですが、これらすべてを無料で貸与してくれる団体・会社があると後で聞いて。しかも丁寧に支援してくれる。クソ、と(笑)。だいたいリースしなくてもPCソフトを購入する手だってある。そこで解約を申し入れると『5年間契約なのでできません』とそっけない回答。まるで携帯電話の2年縛りですよ。唖然ですね(笑)」。
開業支援サービスについても名ばかりで、契約が成立した途端、担当営業マンとは音信不通状態に。結局ほとんどすべての開業準備を自分の手でやらざるを得なかったというAさん。「勤務の合間をぬって店舗づくりからマーケティングまで全部自力でやるハメに…。治療のプロを自負する自分ですが、経営者としては全くの素人…。無謀でしたね」。さまざまな準備不足が祟ったのか、開業わずか2年後に閉院してしまったという。
広告の金額だけを信じ、単に「安い」という理由で請求団体を選択したAさん。痛恨のミスに「〝まさに安物買いの銭失い〟の見本です。アハハ…」と力なく笑うばかり。再起への道標は、今のところまったく見えていないという。
☆教訓
広告を信じるな!
営業マンとはメールなどではなく直接話し、くどいぐらいに確認したうえで委託先を選ぶこと
Eさんのケース
「こりゃあ誰も気づかない…」。保険請求団体の送金通知書。〝セコさ200%〟手数料計算方式の驚愕トリックとは?
毎月送られてくる保険請求団体からの送金通知書。ある日、書面の控除内訳の項目を何気なく眺めていたEさんは「!」と目を丸くした。「代行手数料と書かれた控除項目の金額。当初その会社のチラシに謳ってあったパーセンテージで計算しても合わない。何度やっても数字が合わないんです。営業マンに電話してやっと理解できました」。 トリックはこうだ。仮に請求代行会社X社の手数料を6%、Y社を4・5%としよう。
患者(3割負担)の一部負担金が900円で保険請求額が2100円とする。
X社は「患者の一部負担金を除く保険請求額に対しての6%=126円」。対するY社は「患者の一部負担金と保険請求額の合計金額に対して4・5%=135円」の手数料となる。つまり、見た目の手数料パーセンテージが低い(安い)会社のほうが、実質控除金額が高くなる。
「患者さんが多ければ多いほどが金額の差が大きくなる。こんなセコイやり方に騙された自分が悔しい!」とEさん。これからは広告上の数字のトリックに騙されないよう気をつけたい、と自戒を語ってくれた。
☆教訓
「一見安く見える」表面上の数字に騙されないこと。
裏には必ず落とし穴がある