◆ 歯科業界の現状とは?
ご存知の方も多いようですが、歯科の数は年々増加の一途をたどり、今では「コンビニよりも多い」といわれるほどです。新規開業の医院が増えれば当然、潰れるところも増えます。年間約1500軒が生まれ、同じ数の院が閉鎖されています。現状を俯瞰すると、「繁盛する院」と「駄目な院」、つまり成功・不成功の差が以前よりも顕著になりつつあるといえます。私見ですが、歯科だけでなく治療院業界でもこれとまったく同じ現象が起こっているように感じられます。
患者さんの立場からすると、「良い評判(うわさ)のない院には行かない」という心理が働きます。大切な自分の身体を差し出すわけですから当然ですよね。逆に、クチコミでの評価が上がれば集客が容易になります。
◆ 自費と保険。歯科と治療院に共通する悩みと対策について?
まず何より開業時のスタートダッシュに尽きます。これが上手くいくと、競合より一歩も二歩も抜きんでることが容易になります。ただもちろん、それだけでは駄目です。
何より先生自身が、自らの医療について確固たる「理念」を持っているかどうか? 揺るぎない信条というか、哲学ですね。それがスタッフを巻き込み、ひいては患者さんを魅了する源泉ともなります。「ついていきたくなる」魅力、ですね。この点では治療院でも同じでしょう。
これが接客態度にも自然と出ます。先生、スタッフが明るく患者さんに声掛けしてくれる院というのは患者さんから眩しく、頼りになる存在として映るもの。特にスタッフ教育は重要です。
◆ 「経営」を学び、ライバル院とも交流の場を増やすことが大切?
歯科の先生はとにかく勉強が好きですから、開業してからも貪欲にそういった機会を見つけては参加する傾向が高いように感じます。あとまた、先生が学んだことをスタッフに丁寧に伝えよう、教えようとする姿勢も。ここは、接骨院の先生方に取り入れて欲しい部分ですね。
とかく柔道整復師の先生は、自分自身の技術を表に出そうとせず、さらけ出さずに自分個人のノウハウで完結してしまう。「お金を取ってセミナーを開く」ケースは多いようですが、無料で他者と情報交換しよう、極意を伝授しようとする方がまだまだ歯科に較べて少ないのかな、と思います。
どちらも未来へ向けて、まだまだ可能性を秘めた業界。そんな先生方を私自身、応援し続けていきたいと思っています。
※記事の詳細は、ひーりんぐマガジン52号(夏号)をご覧ください。