特集「ちょっと待った!」加入請求団体は万全ですか? Part3 ~加入請求団体の破産による影響~

三重県四日市市のホープ接骨師会が1月27日付で東京地裁から破産手続きの開始決定を受けた。 負債額は約14億円。「管理がずさんな請求団体もあるので加入請求団体を確認すること」と本誌は過去何度となく注意を呼びかけてきた。 その一つが私的流用のあげく破産という形で明るみに出た。 この特集では加入請求団体が倒産した場合における会員への影響、さらにホープ接骨師会以外にもあるだろう管理がずさんな請求団体を見分ける方法、身を守る方法を報告する。

ホープ接骨師会の破産

地元紙中日新聞は2月4日朝刊にホープ接骨師会の破産についての記事を掲載した。「帝国データバンク四日市支店によると、『ホープ接骨師会』が、東京地裁から破産手続きの開始決定を受けた。負債額は約14億円と見られる。同会は2017年3月期には約1億6000万円の収入高があったが、12年の設立当初から前代表が資金の一部を私的流用していた疑惑が浮上。前代表を辞任させ事業再建に取り組んだが、主力銀行が口座を凍結。今年1月末に予定していた会員への送金ができなくなった」(記事編集部要約)。 こうして520会員のレセプト提出分の入金が途絶えた。
破産者の株式会社ホープ接骨師会前代表取締役は会員宛ての書状で、元会長の私的流用を次のように記載している。「破産に至った要因である元会長による私的流用は、あさひ接骨師会を経由して行われておりました。あさひ接骨師会は会員へのご送金時、資金が不足することが度々あり、当社は都度不足資金を一時補塡。しかし、徐々に資金返済が遅くなり運営業務を受託する形で資金管理を開始したところ。 元会長による少なくとも3億円程度の資金流用が判明しました」「今後の対応としては、破産前に保険者から入金された療養費は破産管財人から会員に返還されると思われます(見込)。」(書状編集部要約)。
会員についてはレセプト提出分の全額入金は望めない状況だ。一部の会員はこれらのことを事前に察知し退会していったとのこと。事前に察知していた会員は会の事情に詳しかったり、会との連絡を密に取っていたりした人だと推察される。

加入請求団体の見直し

柔道整復師に初めて療養費の受領委任という形で健康保険の取り扱いが認められたのは、1936(昭和11)年。 当時は公益社団法人日本柔道整復師会の前身団体を通さなければ保険請求はできなかったが、88年には規制緩和などにより、柔整師の「療養費の受領委任」に社団法人の「協定」とは別に、個人で療養費請求できる「契約」が認められるようになった。これを契機に全国に多くの個人契約者(開業者と請求団体)ができた。 初期の請求団体は接骨院を営む同業者の仲間が集まって費用を出し合い、協力して保険請求業務や入金チェックを行う集合体(任意団体)としてスタートしている。 任意団体というのは「さあ、こんなことをやろう!」と何人かが集まってできたグループで個人組織。 役所などに届け出や登記をする必要もなく、法人(株式会社・学校法人・財団法人・社団法人・NPO法人など)として認められていない。法律に縛られないため、上層部の思い通りにできるという人もおり、ワンマンな任意団体の場合は要注意といわれている。本誌でおなじみの療養太郎氏は以前、「請求団体は柔道整復師を守ってくれるとか、申請を通してくれるという人がいますが、そんなことはどんな請求団体でも不可能なことです。だからといって全ての請求団体が同じではありません。適正な請求方法を指導してくれる団体もあれば、単にレセプトを仕分けするだけの団体もあります。 請求団体ごとに特徴がありますので、他人の意見に左右されずに、自分自身で団体に直接電話するなどして、団体の仕組み、請求の方法、手数料などを確認した上で、納得した団体に入るのが一番です」と語っている。

今回の請求団体経営破綻劇から学ぶことは、治療家自身を守るためにも加入している請求団体やこれから加入しようとしている請求団体のシステムを知った上で、どのような業務を行う請求団体であっても、よく見て、よく調べ、親密な関係を構築することが必要だということ。 〝おんぶにだっこ〟状態の請求団体との関係はすぐにでも断ち切ることが自分の身を守る。
おそらく、経営破綻を起こすような請求団体は会員各院の「未入金残高」「返戻金額」「長期未払金額」などの詳細を質問しても明確な回答はできないはずだ。 請求団体にとっては会員から信頼を勝ち取るために保険請求業務の透明性が最重要課題になる。

※管理がずさんな請求団体を見分ける方法や身を守る方法など詳細は、ひーりんぐマガジン71号(春号)をご覧ください。

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