特集 療養費制度改正とその余波 柔道整復師編

 不正請求対策のための療養費制度の改正を目指して、2012(平成24)年10月に厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会に「柔道整復療養費」と「あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう療養費」の検討専門委員会が設置された。
以来6年の歳月をかけ論議を重ねてきた。すでに実施されている項目もある。18年4月に開催された第14回の柔道整復療養費検討専門委員会(柔整検討専門委員会)では厚生労働(厚労)省事務局から提出された検討項目およびスケジュールなどの案を各委員は承認した。
一部を残して検討項目がなくなった。この後は厚労省から通知が発出され、ほぼ案の通りに順次施行される予定だ。この特集では委員会での検討項目と改正された項目、改正される項目を整理してみる。

最大の余波は3-1「施術管理者について研修受講や実務経験を要件とする仕組みの導入」だ。この仕組みの導入によって新たに施術管理者になるためには、4月1日から実務経験と研修受講が必要となった。実務経験と研修制度は昨年から委員会において4月1日実施予定との案で議論されていた。目ざとい柔整師・柔整関係者らは3月31日までの「施術管理者の届出」には実務経験と研修が不要のため、厚労省からの通知後、届出に殺到したという。特に多店舗経営をしている院などでは、院長候補、次期院長候補らの自宅を接骨院開業場所として多くの届出をしたと聞く。

別の余波として8年間勤務していた接骨院から証明書をもらい、「施術管理者の届出」をしたところ地方厚生局から「証明期間は接骨院から勤務柔整師の登録がなされていないため、あなたの勤務実態が不明。したがって施術管理者にはなれない」との連絡があり「俺の8年間は何だったのか」と呆然としたケース。幸いなことに源泉徴収票や給与明細書、雇用されていたときの書類などの提出で証明ができたと聞いた。このような事例は今回、数多く発生したという。柔整師や接骨院経営者の届出などへの関心の薄さ、ずさんさが表に現れた例といえる。

働いていた接骨院をけんか同然に辞めた人が実務経験期間証明書をもらいに行ったところ「おまえには証明書を書かない」と言われたケースでは、地方厚生局に連絡すると「証明書を書くことは義務として課せられているので地方厚生局が当該院を指導します」との回答をもらったケース。また、近隣への移転の際は実務経験、研修は免除とのことなので、〇〇駅前接骨院がとなり駅のΔΔ駅前に移転しようと計画。接骨院の名称をΔΔ駅前接骨院に変更しようと届出をしようとしたら、実務経験、研修が不要なのは近隣の移転で院名が変わらないことが条件といわれ移転できなかったケースなどがあった。

※記事の詳細は、ひーりんぐマガジン60号(夏号)をご覧ください。

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