特集「数字で見る接骨院の将来」 厚労省「平成28年衛生行政報告例」~接骨院の増加と療養費収入の低下~

厚生労働省から7月13日に「平成28年衛生行政報告例(就業医療関係者)結果の概況」が公表された。調査公表には年報と隔年報がある。隔年報には「あはき」「柔道整復師」の国家資格者の就業数や施術所数などが記載されている。今回公表された衛生行政報告例結果の概況は、「あはき」「柔道整復師」の統計が入っている隔年報だ。厚労省が集計するこれらの数値は、その年の年末時点に保健所に届け出られている各種届出書から導き出した数だ。国家資格は持っているが就業していない人はカウントされておらず現実に即している。統計の中から柔道整復師関係を中心に見ていく。
就業国家資格者数の年次推移
はり師、きゅう師、柔道整復師10年間で約3万人の増加

1. 就業国家資格者数の年次推移

表1 就業国家資格者数の年次推移 (単位:人 調査日:各年末)
※平成22 年は、東日本大震災の影響により、宮城県が含まれていない

2006年~2010年

2006年
(平成18年)
2008年
(平成20年)
2010年
(平成22年)
あマ指師数 101,039 101,913 104,663
はり師数 81,361 86,208 92,421
きゅう師数 379,932 84,629 90,664
柔道整復師数 38,693 43,946 50,428

2012年~2016年

2012年
(平成24年)
2014年
(平成26年)
2016年
(平成28年)
あマ指師数 109,309 113,215 116,280
はり師数 100,881 108,537 116,007
きゅう師数 99,118 106,612 114,048
柔道整復師数 58,573 63,873 68,120

あん摩マッサージ指圧師(あマ指師)は2016年(平成28)年の末で11万6280人と06年からの10年間で約1万5000人増加した。はり師、きゅう師はともに10年間で約3万4000人の増加。柔道整復師(柔整師)についても16年の就業者数は6万8120人で、10年間で約2万9000人増加している。柔整師は06年からの2年間で約5000人、08年からの2年間で約6500人、10年からの2年間で約8100人と増え続けてきたが、12年以降は増加の伸びが縮まった。特に14年から16年の2年間の増加人数は、この10年間で初めて4247人と5000人台を割り込んだ。

2. 国家資格者施術所数
接骨院数10年間で最低の伸び

表2 施術所数の年次推移 (単位:カ所 調査日:各年末)
※平成22 年は、東日本大震災の影響により、宮城県が含まれていない
2006年~2010年

2006年
(平成18年)
2008年
(平成20年)
2010年
(平成22年)
あん摩マッサージ
指圧を行う施術所
21,822 21,092 19,983
はり、きゅうを
行う施術所
17,794 19,451 21,065
あマ指、はり、きゅう
を行う施術所
34,517 35,808 36,251
柔道整復の施術所 30,787 34,839 37,997

2012年~2016年

2012年
(平成24年)
2014年
(平成26年)
2016年
(平成28年)
あん摩マッサージ
指圧を行う施術所
19,880 19,271 19,618
はり、きゅうを
行う施術所
23,145 25,445 28,299
あマ指、はり、きゅう
を行う施術所
37,185 37,682 37,780
柔道整復の施術所 42,431 45,572 48,024

2016(平成28)年末の「あん摩マッサージ指圧を行う施術所数」は1万9618カ所。06年から14年まではマイナス傾向が続いていたが、14年からの2年間で347カ所が増加した。しかし10年間で見ると2204カ所減少している。「はり、きゅうを行う施術所数」は16年12月末日で2万8299カ所ある。この10年間は増加傾向にある。 「柔整師の施術所(接骨院)数」は16年12月末で4万8024カ所あり、10年間で約1万7200カ所増加した。接骨院の増加数は06年から「あはき」の施術所数を大幅に超えていたが、14年からの2年間で接骨院の増加数は2452カ所で2854カ所増の「はり、きゅうを行う施術所数」を下回った。減少したとはいえ、このままの状態で推移すると平成30年には接骨院が約5万カ所を超え、主要コンビニエンスストアの店舗数5万5090軒(17年2月現在)と肩を並べる。

3. 柔整療養費推移と接骨院1院、柔整師1人当たりの療養費収入

表3 柔整療養費推移と療養費収入
2006年~2010年

2006年
(平成18年)
2008年
(平成20年)
2010年
(平成22年)
柔整療養費(億円) 3,630 3,933 4,068
接骨院1院当たりの
療養費収入(万円)
1,179 1,129 1,070
柔整師1人当たりの
療養費収入(万円)
938 895 807

2012年~2016年

2012年
(平成24年)
2014年
(平成26年)
2016年
(平成28年)
柔整療養費(億円) 3,985 3,825 3,794
接骨院1院当たりの
療養費収入(万円)
939 839 790
柔整師1人当たりの
療養費収入(万円)
680 599 557

接骨院1院当たりの療養費収入、柔整師1人当たりの療養費収入を調べた。単純に柔整療養費を接骨院数や柔整師数で割ったものだが過去と現状とそして未来が見えてくる。柔整療養費は2006年から10年までは上昇傾向にあったが10年以降は反転し下降傾向だ。表にはないが17年の柔整療養費の速報値でも前年対比で下がっており、16年以降も保険者の財政状況、社会保障費増加などで低下傾向は続くものと考えられる。
06年は接骨院1院当たりの療養費収入が1179万円だったが毎年減少を続け、16年では790万円と10年間で389万円低下している。また、柔整師1人当たりの療養費収入は10年間で381万円減少し557万円となっている。

※記事の詳細は、ひーりんぐマガジン57号(秋号)をご覧ください。

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