● 下肢のリラクゼーション療法
1)足のMP関節
(症状) 筋肉が細り、血色が悪く浮腫などが有り可動域がない。
(目的) 骨間筋を動かすことを目的とする。
(療法) 術者の拇指と他指で中手指節(MP)関節を固定し、上下に動かします。(足背←→足底)1本ずつ全てのMP関節を動かします。
2)足の指関節
(症状) 寝たきりが長期化し拘縮が起き、指関節が不規則な形に変形した。
(目的) 長短拇指伸筋の腱や長短指伸筋の腱を動かすことを目的とする。
(療法) 方法としては足底と足背を固定し、指一本ずつを動かすようにします。また指関節に変形がある場合は、あるべき関節の部位に戻す方向に動かすことも行います。
3)足関節
(症状) 足関節の拘縮の場合、底屈、内旋という形状を呈す。
(目的) 下腿三頭筋の萎縮によって足関節拘縮時には下腿三頭筋、前脛骨筋を動かすことで足関節の可動域の拡大を図る。
(療法) 踵骨を片方の手掌で包み込むようにし、その手の前腕部を患者の足底部に密着させ踵骨を引きながら背屈させます。この時一方の手は、足がぶれないように足背側から足首をしっかり固定します。
底屈させる場合は踵骨を引いている手を足背部に置き換え、一方の手はアキレス腱を押し込むように圧迫を与え刺激を加えます。
4)膝関節
(症状) 膝関節が拘縮を起こしている場合、90度前後で起きていることが多く膝関節の運動が出来ない。
(目的) ハムストリング(半腱様筋・半腱様筋と大腿二等筋)の結合組織部のみに刺激を与えることで可動域の拡大を図る。
(療法) 膝を包み込むように両手で持ち、それぞれの腱を術者の中指で引っ掛けるように固定し大腿骨に平行に術者側へ数回引っ張って腱を緩めます。
5)股関節
(症状) 大腿四頭筋の筋萎縮によって大腿骨が骨盤に引き寄せられ、膝が屈曲した状態で股関節が拘縮を起こしている場合、内転筋などの筋萎縮で股関節の開脚が出来ない状態。
(目的) 大腿四頭筋や内転筋などを動かすことで股関節の可動域の拡大を図る。
(療法) 膝関節を60度~90度。股関節を90度の角度にセットし、股関節は関節窩に大腿骨頭がはまっていることを確認し、膝関節の角度を変えずに大腿骨を軸にして、ねじり運動を数回行います。
このとき不測の事態に備え、術者は必ず内側の手で患者の足を下からしっかり支えるようにします。ただし、施術初期は現状の可動域にとどめることが肝心です。
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今回述べてきた各関節におけるリラクゼーションのいずれの場合も無理せず、徐々に徐々に可動域を拡大していくよう十分に注意を払ってください。なお、結果を意識し過ぎて焦らない事が肝要です。
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圷 (あくつ) 小次郎 :日本手技療法協会 あん摩マッサージ指圧師
[ひーりんぐマガジン 4号より]