▼国家試験について
日本工学院八王子専門学校 鍼灸科長 宇南山 伸 氏
(はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師)
国家試験のみを目的とした学校にはなりたくないですね。国家試験は生徒たちの大きな目標ではありますが、鍼灸学校を出ても現場に対応できないようでは困ります。国家試験対策においてはいかに効率よく勉強すれば良いか導いて、臨床に使える力を養わせる時間をつくることが重要だと思っています。
国家試験というのは、3年間の集大成でもあるので、できる学生は特に国家試験対策をしなくても合格できるのです。
「国家試験に実技試験の導入を」という考えもありますが、まずはインターン制度などで、臨床と教育の橋渡しのようなものが必要だと思います。
本校では、臨床施設の中で社会人教育を含め、できるだけ現場に近い環境の中で育てていきたいです。具体的には、一番必要とされているコミュニケーション能力。
「読み」「書き」「聞く」「話す」
という4つに対して備えられるように、生徒が1年のときから気に留めて授業を行います。
人の話を聞く姿勢が大事。読み書きに対しては、期末試験などは記述、論述形式にして出題しています。
書く習慣は、頭の回転を早くし、まとめる力も養われます。文章を書くトレーニングを3年間行うことで、4択やマルバツ形式で教育されるのとは、違った人間を養いたい。試験結果を見ると、1年生から2年生と成長のあとが見えます。とても手ごたえを感じていますね。
患者さんには、身近な存在の人間として接してほしいと思います。医療現場では、相手を尊重する、認めるということが伝わるような接し方をしなければいけません。
国家試験対策は、過去問題集を整理するときに、各問題に教科書の頁を全部記入しています。そのあとに、章毎に問題集を作っています。すると、問題の傾向もわかりますが、さらに大事なことは、結果として教科書を一冊読み込むことに値するということなんです。
国家試験の場合、試験の6割を正解すればいいと解釈するなら、教科書を穴がないように熟読すれば、必ず受かる。過去問に難しい問題が出題されていますが、その問題は残り4割の部分なので、過去問でできないところを正解できなくても不安がることはありません。