宣伝広告の媒体 ~口コミからチラシまで 【前編】

例えば、外資系の某ハンバーガーチェーンでは、小学生以下の来客に対してアニメのキャラクターグッズを「おまけ」として提供し、中高生に対してはハンバーガーを載せるプラスチックのトレイの上に、その年代の顧客が喜びそうな記事内容が書かれているペーパーマットを敷いています。

これらはどちらも「口コミ」の誘発を期待しているものです。例えば、アニメのキャラクターグッズをもらった子供は、それを友達に見せる。その友達は母親に同じキャラクターグッズをねだり母親はそのハンバーガーを買う。
また母親はキャラクターグッズを中心とした子供の行動や関心について、他の母親との会話で話題として取り上げる。中高生の顧客は紙のペーパーマットに書かれた興味ある内容の事を友人との話題にします。

まことに卓越した広告戦略における「口コミ」戦術であると言わざるを得ません。この様に自院が対象とするマーケットが最も興味を持つであろうと思われる物や事柄で「口コミ」を誘発させる事が最も安価で効果的な、費用対効果の高い広告といえます。

以下にその「口コミ」を狙って成功したケースをご紹介しますと、不動産物件が決定すると内装工事の施工前から「○月○日 △△接骨院が開業します。○日~○日まで内装工事を行います。ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いします。」などのメッセージ文を書いた紙を店舗のシャッターに張り付けて置き「あそこに接骨院が出来るんだって……」という、話題を提供し近隣の住民の関心を引きました。

◇   ◇   ◇

また、治療院の看板に今までに見た事も無かったようなユニークなものを活用し「口コミ」を誘発させたケースもあります。写真はマッサージ院ではなく接骨院です。近隣に大学や高校が多い典型的な学生街の接骨院でした。
この地域は競合する接骨院も多く、思い切って保険診療メニュー構成から女性マーケットを中心とした、リラクゼーション系のメニューへ変更しました。

治療院の正面看板についても、女性に対する訴求力が不足との判断から、大幅に変更しました(写真1)。結果は、大当たりでリラクゼーション系の現金売上が急激に上昇しました。
ところが意外なことに中心から外したはずの老人マーケットも同時に増加を示し、月間売上は以前の3倍に達し、近年続く制度改定による保険請求額の低迷分を十分以上にカバーする結果となりました。

日常的に使用するモノを来院患者へプレゼントする方法もあります。住所録やカレンダーなどは非常に古典的な方法ですが有効です。
これは家庭内を対象としていますが、あるリラクゼーション系の治療院では家庭外での「口コミ」を期待し若年女性層を対象に真っ赤なコンパクトを来院記念としてプレゼントしました。

但し、このコンパクトの表面には、なにも印刷されていないのですが裏側に小さく治療院名と電話番号が印刷されていました。

どんなに可愛らしいコンパクトでも、その表面に治療院名等が入っていたら女性患者は使用してくれない。使用してくれなければ話題にもならない。そうならばと印刷内容などを極力小さくして、できるだけ使用してもらいたいと考えたようです。

話題に取り上げられるために心理戦のような広告戦術も時には必要です。

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