人口調査から内外装業者の選定まで【後編】

● 院内動線
家や店舗、治療院等の設計図を作成する時、図面上に多くの線を引きます。この設計図に現れないものにスタッフや患者の動く線、即ち「人の動線」があります。治療院の内装にばかり気を配り、院内のスタッフと患者の想定できる動きを無視すると、誠に使い勝手の悪い施術所が出来上がってしまう可能性があります。動線を考える上で基本的なものとしては以下のものがあります。

1.頻度の高い動線は可能な限り短くする。

治療院によって異なる場合もあると思いますが、例えば、患者が受け付けにきた時点でカルテを棚から取り出す場合は、受け付けとカルテ棚との距離を出来るだけ1ステップにする。また、患者が施術室に入ってから各々のスタッフがカルテを取り出す場合には、なるべく施術室の中でそれぞれのスタッフが出来る限り動かずにカルテを取り出せる場所にするべきです。

2.動線は単純なほど使い勝手が良い。

特に施術スタッフの動線においては、2度、3度と曲がったり折れたりする様な複雑な動線は、物理的にも、スタッフのみならず周りで見ている患者にも、心理的な負担が大きいものです。例えば飲食店の厨房では、「流し」「レンジ」「冷蔵庫」の位置を結んだ三角形を「ワークトライアングル」と呼んでいます。このワークトライアングルは、小さいほど疲れにくく、使いやすい厨房と言われています。

3.スタッフと患者の動線は交わらないように分離する。

例えば受付から施術室へ移動するスタッフの動線と、待合室から施術室へ患者が移動する動線が重なるなど、このようなケースは出来る限り避けるべきです。
治療院のみならずいかなる店舗に於いても、限定された面積と空間の中で最も高い効率を求めることが重要です。全て思い通りに出来るとは限りませんが、可能な限り動線を考慮した治療院とすべきです。

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