人口調査から内外装業者の選定まで【後編】

● 内外装業者の選定
従来、治療院はどちらかといえば、地味で質素なものでした。しかし現在では、治療院自体にも来院を促す機能、つまり宣伝広告の機能持たせることが必要となっています。
自院のイメージが確立したら、そのイメージを内外装において忠実に表現できる業者を数者選定します。この場合、その業者の過去1年程度の施工例を実際に見せて貰う様に依頼します。もしも、過去の施工例を自信を持って見せられない業者等の場合は、敬遠した方が無難であると思います。

内外装業者の仕事の質は、その業者が施工してから1年以上が経過した壁紙を見ると判断できます。しっかりとした施工をする業者の場合、壁紙に皺などがよる事はありませんし、天井と壁の境目でも、2年や3年は壁紙が剥がれてくることはありません。
手抜き工事や粗雑な施工では、1年を待たずして剥がれたり、隙間が出来てしまったりするものです。出来れば質の高い施工をする業者を2~3社選定して、同じ内容で依頼し(例:「約20坪の不動産物件で、床にPタイルを張り、壁紙は白の一般的なもの、入り口には○メートルの自動ドアを取り付けたい」など)、価格を比較したうえで業者を選定します。

その際には、工事引渡し後半年間程度の不具合対応(保証期間)をお願いしておくと良いでしょう。ここでは内外装業者としていますが、これらの内外装業者の中には単なるコーディネイターである場合があります。
コーディネイターはいわば取りまとめ役で、自ら施工をする訳ではなく、実際の施工業務をアウトソーシングし、そのコストと自社のコーディネイト料を加算して請求します。

一方、院長が全てを単独の業者へ依頼する方法もあります。この場合、看板業者、内装業者、外装業者、電気工事業者等とそれぞれ工事の打ち合わせを行い、工事日程までも院長自身が取りまとめる必要があります。往々にしてコスト的には安価に上がる様に見えますが、コーディネイターに一括して依頼した場合の方が安い場合もありますので、複数のパターンで複数の業者に見積を依頼するべきでしょう。

また昨今では、内外装業者は折からの経済不況で、一時と比較して時間的には相当に自由が利きますので、契約締結の当日には正確な見積査定に来てもらうくらいの調整はしたいものです。

内外装業者選定は、先輩や知人・友人の紹介等に頼りがちですが、紹介された業者との価格交渉などはなかなか実行しづらいものです。出来れば、何のしがらみや義理も無い業者を選定した方が良いと思います。

また、患者となってくれるかもしれないとの期待から、同じ町内や地域から業者を選定するのも考えものです。複数の業者を競合させ、結果的に他の業者を使った場合は、その同じ町内や地域の業者は、なかなか治療院には来院してくれないものです。

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吉村 龍夫 氏
[ひーりんぐマガジン 2号より]

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