開業の心構えから市場調査まで【後編】

● 市場調査
 不動産業者からの何軒かの優良物件情報から絞り込み、第1位~第4位程度まで候補を絞り込みます。そして、その候補物件の一つひとつについて、 「ここで成り立つか否か」 を問う、商圏調査を行います。

商圏調査というと、小売店でも開業するのかと思われますが、これは、開業イメージとその候補地の適合性を確認する上で重要なポイントとなります。ほんの少し前の時代まで、接骨院は商店街の中でも一番奥の目立たないところにあったり、繁華街から角を曲がって4.5軒目にひっそりと位置していたものです。

しかし、これからの接骨院経営においては、もっとビジネスとして地域、繁華街や商店街の前面に立って開業したり、小売業や飲食店の出店ノウハウ等を取り入れなければならない時代となっています。

● 商圏調査
 治療院といえども商売です。そして商売であるからには、それを支えてくれるはずの商圏を知らなければなりません。商圏は開業候補物件を中心として半径500mを第一次商圏、1000mを第二次商圏として設定します。

まず最初に、開業候補地を中心として半径500m、そして、第二次商圏として1000メートルの円を書き入れることが出来る縮尺、3000分の1程度の地図を入手します。

次に、商圏内に人口密度を低下させる要素がないかを調べます。
例えば、大型の神社・仏閣等が近隣にある場合、その大きさと人口密度は反比例するものと考えます。以前、東京の上野駅の北東側での開業について相談されたことがありました。古い住宅が江戸の町の風情を残した典型的な下町の雰囲気をもった、一見良さそうな候補地でしたが、即座に 「No! 進められない。」 といったことがありました。

何故ならば、この候補地の第一次商圏内には上野公園、上野駅等があり、更に、吉祥院、元光院、覚成院など、寺院の非常に多い地域であったため、これらがその商圏の人口密度を著しく低下させていたからです。

また、上越新幹線のガードと国道4号線が商圏を分断することにもなっていました。
鉄道、幹線道路等も商圏に於いてはマイナス要素となり易いのです。特に接骨院の場合、片側2車線の幹線道路は大きな川と同様、商圏を完全に分断します。 「幹線道路に面してはいるが、目の前に横断歩道があるから大丈夫だ」 とおっしゃる先生がいますが、あまり薦められません。

極論すれば、 「確かに横断歩道があるから大丈夫かも知れないが、目の前に大きな道路がない方が、もっといいではないか」 ということなのです。

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