患者から苦情のある治療院は徹底的に調べられる!?

● 刑事事件にまで及ぶことも
 ―― 悪質なケースというとどんなものがあるの?

 柔整師A氏  「来ていない」のに「来ていた」というのも酷いが、もっとすごいのは、もう亡くなっている人も3カ月も通院していたなど、怒りを通り越して笑っちゃう例もあった。

それから、自分の家族を1年間ずっと診ていた、なんてね。自分の家族である小学生の子どもを毎月20回、2年間続けていた。それはどう考えてもおかしいでしょ。
あとは交通事故で、40歳、38歳、12歳、10歳の4人家族を半年間も引っぱったとか。しかも毎日来たと。どう考えてもおかしいよね。私の接骨院じゃ1カ月でおしまいになるよ。「そんなひどいなら病院に入院させたほうがいい」ってことだからね。

患者のカルテを見て、「入院期間中なのに、なんであなたのところに歩いて通っているんですか」などと指摘されると、さすがに黙り込むでしょ。
そういうのが、数十枚も出てくると、もうどうしようもないよね。2年分出しなさいとなるわけだ。1回、2回の間違いならわかるけど意図的でしかも悪質だととられても仕方がないよ。

● 不正受給者はもちろん返還
―― そういう先生たちは、通ると思ってやっているのかな。

柔整師A氏  通るかどうかってよりも、売上げしか頭にないんだよ。
不正請求工作で何に走るかというと、部位とか、回数を水増すというのが多い。だから患者さんにアンケートを出してみると、「そんなに怪我していない」とか、結構出てくる。

ただ本当に行っていて、中には半年前のことをよく覚えていないって人もいるね。けど、5回行ったか6回行ったかは覚えていなくても、1回行ったかどうかは覚えているよ。
ましてや1回を25回で出す人とか15回で出す人などがいる。
それが、もう1年くらい続くと麻痺してきちゃうからね。やがてそれが常識になってしまうんで、感覚的におかしくなっちゃう。

―― 意図的にではなく、うっかりミスということはないの?

柔整師A氏  まさかすでに「死んでいる人間」を施術して、「うっかり」とは言えないよ。不正請求というのはわかっているのにやるというのが多いってことだ。
このまま、専門学校がたくさんできて、数が増えて受給の問題と絡んで不正請求する人が同じ比率でいたら、大変なことになるよ。

100人のうち、多かれ少なかれ不正請求をやったことがあるひとはどれくらいいるのかな。
「人数の割には金額があわない」とか「何でこんな数字出るのか」とか、どうみたって、120万円しかいかないはずなのに、200万円ある、とかね。
一番大事なことは、これから社会情勢的にも厳しくなる。そうすると、患者が減るのは当然だから、数字が減ってくるというのが普通。なのに、毎年毎年、増えるというのはどんなものかなと…。

―― 最後に一言。

柔整師A氏  いまや接骨院の 過剰時代に突入している。そうするとどこかで、しめつけしなければいけなくなる。厳しくなってもいままで通りの請求でやるとなったら、3分の1の治療院は潰れてしまうかもしれないね。

いつか、接骨院もマルメ方式になったり、新たな展開が待ち受けていると思うけど、不正請求というんじゃなくて、自分のやった仕事をきちんと評価されるようレセプト管理はきちんと行ないたい。万が一のときではもう遅いのだから。

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