患者から苦情のある治療院は徹底的に調べられる!?

● 整形外科と上手に連携を
―― 患者からのクレームが発端となって不正請求がバレる事があるようだけど、クレームはそんなに多いの?

 柔整師A氏  まず、クレームで一番多いのは、「治療に来たのに余計に痛くなった」。施術の技術が未熟な先生が、なにか勘違いしてカイロや整体などを行なうケースによく見受けられる。他に多い苦情というと、「混んでいる」ということかな。
治療院のトイレのタオルが汚く不衛生だというクレームに端を発して、保健所から、連絡が来たなんていうこともあった。最も院内の清潔感への配慮などはいわば常識だと思うんだけどね…。

 ―― 治療以前の問題というわけだね。

 柔整師A氏  接骨院に来た患者さんが、思うように治らなかった場合、あとはどこに行くかというと、整形外科しかない。で、整形外科からは当然、クレームがつく。特に整形外科の多くの先生は、接骨院に対して、あまり良く思っていない。
私は捻挫にしても骨折にしても、自分のところではまずやらないね。近くの整形外科に紹介してるよ。でも患者さんは必ず戻って来るから、まず問題はないな。

―― そういう意味では、患者のためにも整形外科など他との連携というのは必要だろうね。

柔整師A氏  整形外科に電話して、接骨院からの紹介状を持って行ってもらう。そういう正しい手順を踏むことで、患者さんの苦情が減ることは目に見えているよ。やはり無理な治療をすると弊害がある。
「捻挫かどうかわからないのに、固定をしてしまった」なども聞いたことがあるね。整形で診てもらって、時には薬で抑えることも必要なんだ。それをなまじ、接骨院の方で何でもかんでも治してしまおうとすると、無理が生じてしまう。

各接骨院は、患者さんに必ず紹介状を書いて持って行ってもらうことさ。中には「どこでもいいから医者に行きな」などと言うとんでもない人もいる。
医師は、大学病院の教育の一環として、送り返してもらったら、必ず挨拶状を出すというのを学校で教えているけど、ある先生が紹介された10人の患者を送り返しても「2名しかお礼の返事が来なかった」と言っていたよ。
何気ない心遣いから良好なコミュニケーションが生れるのにね。

なにか柔整業界では、患者を送ったら、もう戻ってこないと考えているようなところもあるね。私のところでは捻挫かどうか分からない場合、患者さんを車で整形外科に送り届けているよ。そうすると、レントゲン・フィルムも見せてもらえるしね。
これは、大変参考になる。若い人たちにとっても勉強にもなるし、その信頼関係が大切なんだ。こうなるには時間がかかるけど、これが大事。それがなかなかできないんだなぁ。

● 患者とのコミュニケーションを
 ―― 患者さんとのコミュニケーションが密だと、クレームは少ないものなの?

柔整師A氏  少ないね。どういうことかというと、例えば、時間をたっぷりとって施術するとか、普通以上にやってあげたりすると、患者さんはここの接骨院は良くやってくれたということで、些細なことに対しては文句をいわないでくれる。
多くの接骨院が不正請求を行なっているなんてことはないと思うけど、つまらないところでクレームをつけられないようにしたいよね。だからこそ、地方厚生局や厚生労働省にしても、その姿勢というところまで見るのかもしれないね。

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