整形外科医から見た柔整師 【後編】

インタビュー:板室温泉病院 大井淑雄 氏
残念ながら、整形外科からの柔整バッシングは年々多くなっているようです。
整形外科と柔整の軋轢はどこにあるのでしょう。
「整形外科医から見た柔道整復師」について、板室温泉病院理事長の大井淑雄氏にお聞きしました。

● レントゲン写真は患者のもの
―― 柔整師が施術を行っているとき、悪性の内科的疾患などを察して、医師を紹介する能力を養うためにも、レントゲンを認める方向で考えられないでしょうか? 施術ミスも少なくなって、患者のためになるのではないかと思うのですが。

大井  これはある意味で正論ですが、法律的には難しい点が多いです。アメリカではレントゲン写真は患者のものだという認識で、もし患者が希望すれば渡すことができます。つまり、患者自身が持ち帰ることができるんです。
また、撮ったものを筒の中に入れて医師自身や病院がアメリカ全土に送ることもできます。これは、余計なレントゲンを撮りなおす必要がなくなるのでとてもよい制度です。
しかし、日本は医療施設が5年間保管しなければいけないという法律があるのです。ただもともと患者の財産ですから、これはフイルムのコピーを渡してあげるなど将来議論される可能性はあります。

―― 柔整には科学的根拠がないのでしょうか。

大井  科学的根拠のないものもあります。例えば、疾患の病態生理をあまり考えずに頚部をマッサージして麻痺させることもあります。逆に、うまく治療したということもああります。科学的に根拠がないというものも多かったですね。
しかし、これは過去の経験を主とした治療体系では、そのようなことも時にはありましたが、今は柔整も科学を勉強しているのでそれほど科学的根拠がないことはやりません。研修会など積極的に熱心に行っている話も聞いています。

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