最近気になる個人情報
ちまたを賑わす個人情報漏えい事件、なんと2005年度は1,000件を超え前の年の3倍近くに膨れあがっているそうです。
日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)の「セキュリティ被害調査ワーキンググループ」の分析によると、2003年度が57件、2004年度が366件ということなので、2年間で20倍近く増えていることになります。それだけ個人情報が守りにくくなってきているということでしょうか。
世の中はIT化・コンピュータ化が進み、以前では考えられなかったような多量なデータが瞬時に世界中を駆けめぐっています。
ちょっとしたミスで数十万人、数百万人といった規模の顧客データが流出した事件も実際に起こってきているのです。
そんな中、ご存じのように、2005年4月から個人情報保護法が施行されました。これにより、5,000件以上の個人情報を持っている機関は、これに違反することで法的な罰則規定が設けられたのです。
個人情報保護の法律ができた背景には、このように日々進化する科学技術の発達があります。
個人情報ってなに?
ちょっとおさらいしましょう。
個人情報とはその名の通り、「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」となっています。これには、他の情報と簡単に照合することで、当該個人を識別できるものも含まれます。
そして、個人情報のなかには、一般的な氏名やメールアドレスなどの他にも機微情報と呼ばれる非常にデリケートな情報があります。
たとえば、
1)思想、信条及び宗教に関する事項
2)人種、民族、門地、本籍地、身体、精神障害、犯罪歴、その他社会的差別の原因となる事項
3)勤労者の団結権、団体交渉及びその他団体行動の行為に関する事項
4)集団示威行為への参加、請願権の行使、及びその他の政治的権利の行使に関する事項
5)保健医療
などがあげられます。
たとえば、患者さんがどんな病気になっているか?なども機微情報の最たる例です。
医療・介護関係においては、このような非常にデリケートな情報を扱っていますので、特に個人情報の保護には気をつけねばならず、
厚労省の 「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」 では、たとえ5,000件に満たない個人情報を持つ機関でも遵守する努力を求めるとしています。
「うちは、5,000件もないや」 等といっている治療院の先生。
先生のかかえている情報は、機微情報に当たります。ご承知とは思いますが、たとえ1件でも非常に重要なものなのです。
たった1枚のカルテの流出が、その患者さんの人生にも係わってくるということをもう一度よく考えてみてください。