「受領委任払いは今後も堅持」大島参院議員の質問に答弁
行政刷新会議の事業仕分け第1弾で、「柔道整復師の療養費に対する国庫負担」が審議の対象となったことは記憶に新しい。これまでは「療養費」というと、柔整、鍼灸、あんま、マッサージが一様に指されていたが、あえて「柔道整復師」ということだった。これには、さまざまな憶測が憶測を呼び、「国庫負担金廃止」「部位数制限」や「全部位の負傷原因記載」などから、「6月の療養費改定に反映されるのでは」といったところにまで及んだ。
主な意見として、
- 柔道整復師の養成数を管理できる法制度にする必要がある。
- 柔道整復師の療養費の保険給付は、2部位80%、3部位50%くらいでよい。
- 柔道整復師の治療については、不正請求の疑念はぬぐえない。適正な保険給付に向けた改善を実施する必要がある。
- 3部位請求に4部位同様、状況理由を報告させ、給付率を33%に引き下げるべき。同時に養成定員を減らすべき。
- 柔道整復師の総数を抑制する手段を講じるべき――
などだった。
その後、民主党国会議員の「適切な医療費を考える議員連盟」(会長=桜井充参院議員)は12月3日に会合を開き、外科学会などからヒアリングを行ったが、その中で柔道整復師の療養費についての意見が出た。それによると、整形外科が年間5600億円くらいの医療費であるのに対して柔整療養費が年間3800億円と、整形外科に比べて柔整は、基本的に打撲、捻挫と応急手当としての骨折や脱臼で3800億円が多すぎるというのである。
一方で、鳩山由紀夫首相が今年1月29日に所信表明演説で統合医療を進めたい考えを示したのを受けて厚生労働省は、2月5日にプロジェクトチームを発足、検討している。
従来の西洋医学に対し、伝統医学や民間療法といった補完・代替医療を組み合わせる統合医療は、対症療法だけでなく、病気の予防や健康増進にも役立ち、薬を減らして医療費も抑制できるとされている。
3月5日の参議院予算委員会で民主党の大島九州男参院議員が統合医療について質問している。大島議員は、まず統合医療の概念と目指すところについて政府の考え方を聞いた。これに対し足立信也厚労大臣政務官は、「相補代替医療の範囲は極めて広い。例を挙げれば、漢方や、はり、きゅうに代表される伝統医学、あるいはハーブ療法、温泉療法、自然療法などがある。そのような相補代替医療と近代の西洋医学を統合させる、お互いに利用するということだと思う」として、その方向性について「鳩山内閣あるいは長妻厚生労働大臣の中での医療行政のキーワードは予防医療だと思っている。その予防医療を推進するということが統合医療の推進につながっていく。もう一つは、今まで近代西洋医学は、例えば原因の究明、そのメカニズムの解明ということを推進してきた。そこで少し足りなかった部分は、人間という個体を、人間全体をとらえるという観念が足りなかったのではないか。これが伝統医学の中で重視されているもので、国民の皆さんの多様なニーズにこたえられる医療、これを今後推進していくということが目的である」と答えた。
「受領委任払いは患者の利便のため」細川厚労副大臣
さらに大島議員は「受領委任払いという制度がなくなるのではないかというようなことをよくわれわれも聞くが、堅持されるのか」と質問、これに細川副大臣は、「柔道整復師が施療される場合、その疾病というのは骨折とか捻挫とかすぐに対応しなければいけないというものだから、(患者が)お金の持ち合わせがないようなことも考えられ、患者さんの利便のためにこういう受領委任払いという特例を認めている。患者さんの利便ということで今後も堅持していきたい」と答えた。
民主党政権は統合医療の確立と「予防医療」と結びつけた上で医療費を節約していこうといことがうかがえる。 最近にわかに、さまざまな問題点が浮き彫りにされているが、今年6月の療養費改定によって今後の方向性が見えてくることは間違いないだろう。
※こちらはダイジェスト版です。記事全文は平成22年4月25日ひーりんぐマガジン27号をご覧下さい。