農業体験・野菜提供を通して~「食べる社会貢献の輪」とは
「障害者の雇用を生み出し、安全な食を治療院患者に提供」をめざして昨年設立された、株式会社ファーマーズマーケットの取り組みを「ひーりんぐマガジン」25号に掲載したところ、早速、患者さんに野菜の提供、農場体験を始めた院が登場した。
小松菜の無料提供―大江戸鍼灸整骨院(東京都台東区)
整骨院のオープンと同時に6床のベッドは埋まり、その後も続々と患者さんが集まり始める。治療が終わり、患者さんに小松菜が無料提供された。
神谷賢院長に話を聞いた。
「以前からウチは『健康と治療』をモットーに掲げていました。『治療』に関しては自信があるのですが、『健康』をどう具現化するか悩んでいたのです。ひーりんぐマガジンの記事を見て『これだ』と思いファーマーズマーケットに連絡しました。不定期ですが月に一度、各回50袋の小松菜を無料配布しています。」毎回、配布する日は通常の2倍の患者さんで賑わうという。
野菜を渡す際は、「味がよく・栄養価も高い・無農薬・無化学肥料」という話と、「食べることで障害者の雇用にもつながる」という話もしているのだという。
受け取った患者さんたちは、「前回も小松菜をいただいて、サラダとして生でいただいたのですが、とても美味しかったです。今日も配るというのでそれに合わせてきました」
「治療だけではなく、私たちの健康まで考えてくれる大江戸さんがとても気に入り、友人に治療は大江戸さんが良いわよと勧めています」
「障害者への社会貢献をしていることを知って、今まで以上にこの整骨院のファンになりました」
神谷院長は、「やってよかったです。実際、配布した後にネットで買われた方もいると聞いています。これを定期的にやると、より効果はあるでしょうね」と語っていた。
社員教育研修とリクレーション―有限会社ヒーラーズ(東京都千代田区)
都内に整骨院を4店舗かかえる有限会社ヒーラーズ(東京都千代田区)は、野菜よりも農業そのものに興味を抱いた。それは農業体験を通して、社員教育研修とリクレーションを同時に行ってしまおうとのもの。
代表の星野虎之助氏はきっかけを次のように語る。
「何かを作ることは僕らの業界ではないんですよ。僕らの仕事は治療、ケアで修理です。物は作っていない。だから視野を広めるつもりもあり、物作りへの挑戦をスタッフにさせたいと思いました。さらに障害者の皆さんと一緒に働くことも、僕やスタッフの体験として有意義なものになるだろうというのがきっかけです。今回は会社の約半数の人数が参加しました」。
この農場は、土を使わない無農薬水耕栽培で、生育が早い。種まきから収穫までが2つのハウス内で行われている。
星野代表は、「農場の作業内容は、2~3人が同時に協力して効率を上げなければならず、スタッフ間での話しをしながら作業しなければならない。今の仕事にはありません。また今日のスタッフを見ていても普段の笑顔とは違う。童心に帰って遊んでるって感じですよね。非日常的で、たまにはこんなのも良いよなと思いましたね。
徒弟制度の時代は先生がいて、先輩がいて、弟子がいてと上下関係が自然にありましたよね。この時代はチームワークはいらなかったんですよね。知り合いの院では、飲み会をやめて院長が自腹でセミナーを開いて、チームワーク、横のつながりを作っているとも聞きました。農業体験では、作業が終わって達成感を覚えながらバーベキューと酒を飲む、それも大自然の中で…。良いですよね。なかなか普段の仕事では達成感を覚えられませんからね。それにチームワークのでき方が違うのではないかと思いますね。治療院の体験・研修には自分の想像通りぴったりでした」。
スタッフとの「チームワーク」作りには、最適ともいえる農業体験。治療院向けの資料から内容を抜粋して紹介する。
<社員研修体験内容>
1. 農業体験
播種(種まき)育苗・移植・間引き、定植、収穫剪定、袋詰めなど
2. 林業体験
杉林の間伐 杉林の間伐、蒔き割り作業など
<体験費用> 3,500円/人(昼食、バーベキュー、お土産付)
問い合わせ先:
株式会社ファーマーズ・マーケット 下田農場
http://www.fmkt.jp/
TEL:03-3255-0797 FAX:03-3255-0798
所在地:千葉県千葉市若葉区下田町1390
※全文は1月25日発行のひーりんぐマガジン26号(新春号)をご覧下さい。