人口調査から内外装業者の選定まで【前編】

次に 「昼間人口と夜間人口」 の調査を実施します。昼間人口とは、その地域の居住者およびその地域で昼間に勤務、遊興などを目的として滞在している人口のことです。
「大都会は24時間、眠らない」 と言われて久しくなっていますが、これは全国の都市でも極めて稀な歓楽街の話でしかありません。99%の町は、基本的に昔から変わらない、人間の営みに合わせた昼夜の生活パターンに従って動いています。

例えば、東京の丸の内や汐留地域などでは、高層ビルの建築と並行して行われた地域再開発事業の結果、昼間は信じられない程の人通りがありますが、暗くなるとレストラン等の飲食関連を除いては、まるでゴーストタウンの様相を呈してきます。

昼間人口と夜間人口の調査データも、全国の市町村のホームページや窓口で簡単に入手できます。人口は商圏規模を的確に表すため、地図を利用した商圏調査の結果を数字で裏付けることが可能です。昼間と夜間に人口の大きな差が発生する商圏に於ける開業では、その商圏を構成する人口に関する調査結果を踏まえた上で、商品メニュー (施術内容) つまり、自院の方向性を決定する必要があります。

勿論、人口データだけで接骨院が成功するとは限りませんが、例えば、 「中・高齢者層人口比率の高いところで、若年女子層をターゲットにしたアロマテラピーやリフレクソロジー等の施術メニューを設定しても受け入れてはもらえないが、鍼灸やマッサージ等であるならば、診療メニューとして受け入れられる可能性がある。」 等、人口に関するデータは、市場分析においてメニューを検討する指針として大変に重宝です。
人口は、それだけでもマーケットの特色を現します。そして、マーケットに合致しない開業は、失敗する確立が格段に高くなります。

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学生街で、特に運動系の学校の近くでの、外傷性の患者を期待しての開業や、女子大生が多い地域において、リフレクソロジーやアロマテラピーを施術メニューの中心的な位置に入れたリラクゼーション店の開業を考えている若い治療家が結構多いようです。これも幹線道路に面した開業候補地の場合と同様に、どうしてもその場所で開業しなければならない、例えば、家賃の心配がない実家兼店舗や、または、実家の所有するビルであったり、資金提供者であるオーナーのビルであったりする等の理由がない限りは避けた方が無難であるといえます。

学生街には、夏休み、冬休み、春休みなどを加えると、年間約4ヶ月前後に及ぶ人口の季節的な変動があります。1年のうち、3分の1は過疎状態になる可能性が高く、加えて、これからは少子化の影響で学生数自体に減少することも明らかです。
学生街の商店の中には、学生の休みに合わせて店を閉めて、他の店でアルバイトやパートタイマーとして働いている人も存在します。但し学生街といっても、住宅地域に隣接していたりする場合はこの限りではありません。

1年のうち、3分の1は過疎状態となる学生街とは正反対の考え方に、1年の3分の1しか開業しないスキー場等の近隣やスキー場の中での開業があります。これは、 「スキーの季節だけ開業し、外傷性の患者だけを対象に短期間のみ開業する。」 という考えです。
しかしながら、 「外傷性のものに対する施術の勉強のため」 というのならば話は別ですが、多くの患者を期待して 「短期間に勝負」 と考えているのであれば、この考え方は間違っているといえます。

一昔前であるならば、スキー等の冬季のスポーツで怪我をする人も結構いらっしゃいました。昔のスキー靴では、足首の捻挫等の事故が発生しやすかったのです。しかし、昨今のスポーツギアは、設計段階から怪我の回避と運動性能の両方に同等の重点が置かれていますので、怪我の発生率は著しく下がっています。
このようなスポーツギアを着用した上での怪我の場合は、ほとんどが入院を必要とする状況となりますので、以前のように冬季だけの治療院は成り立たなくなっています。

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