しかし、柔整専門学校も14校から55校に増え、約5000名の受験資格者を輩出する接骨院業界においては、そんな 「特別扱い」 の時代はすでに終わりました。
特別扱いを受ける資格も権利もない一般の人々が業界に参入し始めていますから、そんな中でも生き残っていける柔整師、そして経営を継続していける治療院への道を、これから真剣に模索しなければならないのです。
また保険者側も、経済状況の悪化から支給に対して厳しくなっていますから、これからの接骨院は、個人・団体に関わらず、自浄努力に加え、”特別扱い”の享受を自ら拒否し、療養費では支給基準に則った報酬のみを、それ以外は自費での施術で賄える体制の確立が必要であると断言できます。
俗な表現ですが、柔整師としてのプライドを維持するためにも、利益追求のための保険請求は絶対に慎まなければならないでしょう。
開業にあたっては、これらのことを強く認識した上で望まなければなりません。開業準備というと、ほとんどの方が最初に開業地域や不動産物件、導入機材、資金等を考えますが、第一に実行することは、少々抽象的な言い方ですが、「開業イメージを明確にすること」と言えると思います。
「開業イメージを明確にする」といっても難しいことを考える必要はありません。
ご自分が「どのような場所でどのような治療院でどのような治療をしたいか」と言うイメージをはっきりとさせることが大切なのです。
例えば、「下町の地域社会に溶け込んで、白衣を着用せずに、町を散歩している時でも、患者さんから 「先生、こんにちは」 と挨拶されるような先生」 とか、オフィス街で 「疲れたビジネスマンやOLをビジネスライクに治療する」 あるいは、「子供達に好かれるヒゲ先生」、「いつも、スポーツマンに頼りにされる選手の駆け込み寺的な接骨院の先生」 「10院規模の多院展開を行って総院長社長になる。」 等々…。
要はご自分がなりたいタイプの先生と作りたいタイプの治療所をはっきりとしたイメージで掴むことです。
この 「開業イメージ」 が明確でなく、ただ単に漠然と 「開業したい」 という気持ちで準備を始めると、半年経っても1年経っても、不動産物件さえも決定出来ないという状況になりがちです。
また、明確な開業イメージを持たない開業の場合、前職で勤めていた治療所のコピーのような接骨院となっているケースも多いようです。無論、開業イメージ自体が 「以前、勤めていた接骨院のような治療院の院長になりたい。」 ということであるならば、問題はありませんが…。