交通事故専門弁護士が教える【交通事故患者を巡る「接骨院業界の現状と問題点」とは?】

 かつて接骨院にとって、交通事故患者は「美味しいお客様」といわれたもの。しかし昨今、その状況が変わりつつあるようだ。
原因としては、各保険会社による交通事故査定や審査、被害者への対応の厳格化が挙げられる。
交通事故対応に精通した「渋谷アクア法律事務所」の代表弁護士である田中孝明氏に、交通事故患者と接骨院業界を巡る現状、そしてぜひ知っておくべき点などを伺う。

「近年、各保険会社とも事故患者様への対応や審査を年々厳格化しています。その背景として挙げられるのが保険会社が負担する賠償金額の増加です。整形外科でなく接骨院で診療するということに関して、費用面での整合性が今まで以上に求められてきています。今後もこの流れは続いていくことと思われます」
「接骨院にとって交通事故の患者様は、着実に売上に貢献してくれる大切なお客様。今後こうした患者様の集客に重点を置きたいと考えるなら、まず交通事故に遭遇した患者様のためのサポート体制を院内にしっかりと整えておく必要があるでしょう。まず、接骨院が交通事故に関する基本的な知識をしっかりと身につけることです。そしてそれを患者様に教えてあげられるようにしておくことも重要です」
「院が、患者様本人にかわって保険会社と交渉するという場面で、特に『施術期間』や『施術部位』が問題となった場合などは接骨院が前面にたって交渉や話し合いを進めます。注意したいのは、接骨院がこれらのポイントについて、『根拠の薄弱な主張を繰り返さないこと』です」
「情報収集も大切です。自動車同士の事故であれば『衝突時に車はどれくらいのスピードが出ていたのか?』『修理金額はどれくらいになったのか?』など。もし患者様が壊れた相手の車の写真を持っているのならきちんと見せてもらう、などです。当然のことながら、保険会社側はこういった点についてはすべて把握した上で交渉してきています。対する院側は、患者様からの聞き取りや調査が甘く、不十分であることが多々あります」
「その結果、保険会社と話がかみ合わなかったり議論が堂々巡りしてしまったり。原因の大半はこの情報収集の部分にあるのではないでしょうか。院としてその事故がどういったものであるかを十分に踏まえておけば『なぜ施術期間を延長する必要があるのか?』『なぜその部位を施術するのか?』について、相手により丁寧に説明し、説得しやすくなると思います。事故状況を事前にしっかり把握したうえで、保険会社との交渉に臨む。これが大切です」。

※記事の詳細は、ひーりんぐマガジン49号(秋号)をご覧ください。

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