治療家がとっておきたいもうひとつの資格 健康管理士

健康相談などのサービスで差別化が図れることが人気の要因
最近、治療院を訪れる患者からの健康相談が多くなったという。ストレス社会と言われる昨今、精神的に不安定な状態になって健康に漠然とした不安を抱えている人が多い。そこで今、予防医学という観点での資格として注目されているのが健康管理士だ。特定非営利活動法人日本成人病予防協会の安村禮子専務理事と渡辺芳久渉外部課長のお二人に、その役割、資格取得のメリット、治療院にどう生かせるのか、などについてうかがった。

健康管理士が期待される理由

健康管理士の資格は、健康社会の実現を目的に掲げ平成4(1992)年に認定された。
「認定当時は医療関係者にさえ予防医学という概念はなく、国民は病気になったら病院に行けばよいと考えている時代でした。しかし、医療費の増加などの社会変化を背景に、ひとりひとりが病気にならないよう心がけることが推奨されるようになり、正しい健康管理の知識を持つ指導者が求められるようになったのです」と安村氏は言う。
「たとえば、中高年の方を対象として糖尿病などの生活習慣病予防の講演を行ったり、子供とお母さんに対して食育に関わる講座を設けるなど、ひとりひとりの年齢、性別、ライフスタイルに応じた指導が必要です」(安村氏)。きめ細かい指導の担い手として健康管理士が期待される理由はここにある。
加えて、治療家が健康管理士一般指導員の資格を取得して定期的に健康情報を発信することは、施術後のお客様とのコミュニケーションに役立つだけでなく、お客様に安心感を与え、その後のリピート、紹介につながることになる。
患者に合わせたカウンセリングや、生活習慣を把握して疾病予防はもちろんのこと、栄養・運動・メンタルヘルス・環境等の指導を行うことは、施術の効果をあげるだけでなく、顧客満足度を大きく向上させ、他院と差別化を 図る大切な要素になる。
「たとえば接骨院で胸椎に問題が見つけられたとき、そのために発症することが予測される動脈硬化や糖尿病について、正しい説明や適切な食事指導ができるかどうかで患者さんの満足度は大きく変わる」と渡辺氏は指摘する。
すなわち、健康管理士の正しい知識にもとづいたカウンセリングが、患者との信頼関係を高め、その結果がリピート・紹介の増加、さらに売上の向上に繋がるポイントになる。

健康管理士が期待される理由

健康管理士の資格認定試験は、東京、大阪は年3回、その他、札幌、仙台、名古屋、福岡、沖縄でも実施される。
この講座は、目安4カ月の通信教育だが、オプションで通学コースもある。通学コースのスクーリングは全4回、土日を利用した集中コースで、テキストの学習だけでなく現場で役立つ知識の内容などが受けられる。「接骨院などで勤務中の方でも、テストのタイミングもありますが短期間で取得を目指すのであれば1カ月でとることも可能です」(渡辺氏)。
受験者数は東京、大阪の場合、1回の受験者が約300~500人、全国では年間4000~5000人に上る。受験者は健康に関わる従事者が多く、柔道整復師、鍼灸師も増えているという。
現在、健康管理士の有資格者は全国で約5万5000人だが、そのうち整体・接骨関係が1割以上となっている。
「健康管理士一般指導員受験対策講座は、健康関連では唯一、厚生労働大臣指定講座となっているため内容に関する信頼性は高く評価されており、看護師、ケースワーカー、薬剤師などの医療・福祉・介護関係職種の方も数多く受験されています。整体・接骨等の治療院でも正しい知識をもとにしてカウンセリングを行うことにより、患者さんからの信頼は高まり、他院との差別化が図れると思います。国民に生活習慣病が増加する中で、施術だけでなく新たな健康指導を加えることによって、リピート率も上がり売上げに繋がったという事例を聞いています。養成校の指導者の薦めによる受験者も増えています」と渡辺氏は話す。
資格取得後に、医療・福祉などの現場で活躍するだけでなく、予防普及のために各地で講演会活動を展開している資格者も増えていると渡辺氏は話す。患者さんが多く十分な受け答えができないような治療院では、院のイメージアップもかねて希望する患者さんを集め、セミナーや勉強会などを開催してもいいのではないだろうか。取得した資格の応用は幅広い。

問い合わせは
日本成人病予防協会
担当 渡辺芳久
TEL:03-3661-0175
URL:http://www.japa.org/

 

※この続きおよび全文はひーりんぐマガジン28号(夏号)をご覧下さい。

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